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#988 / 2016.02.15

無能な働き者

ドイツの軍人・ハンス・フォン・ゼークト(1866〜1936)によれば、軍人は4種類に分かれるといいます。

  • 有能な怠け者。これは前線指揮官に向いている。
    理由は主に二通りあり、一つは怠け者であるために部下の力を遺憾なく発揮させるため。そして、どうすれば自分が、さらには部隊が楽に勝利できるかを考えるためである。

  • 有能な働き者。これは参謀に向いている。
    理由は、勤勉であるために自ら考え、また実行しようとするので、部下を率いるよりは参謀として司令官を補佐する方がよいからである。また、あらゆる下準備を施すためでもある。

  • 無能な怠け者。これは総司令官または連絡将校に向いている、もしくは下級兵士。
    理由は自ら考え動こうとしないので参謀や上官の命令どおりに動くためである。

  • 無能な働き者。これは処刑するしかない。
    理由は働き者ではあるが、無能であるために間違いに気づかず進んで実行していこうとし、さらなる間違いを引き起こすためである。

ここで自分なりにいろいろ考察をしてみました。

  • 有能な怠け者は、
    部下の力を精一杯引き出せるように適材適所に仕事を割り振れること。そのためにはその人の得意分野を把握する必要がある。
    振ろうとしている仕事を断られないように、うまく根回しすること。また、仕事を振る際にその人がうまく動けるようにサポートする。
    どの分野が勝てるのか負けるのかを把握して無用な被害を出さないように努めること。

  • 有能な働き者は、
    自ら考えるためには、向かうべき方向がしっかりと認識できていなければならないこと。
    思考力や実行力がいくら高くても、権限委譲されていないとできないことも多い。
    実働部隊の要になりえると思うので、一つ一つの作戦に下準備・根回しが求められる。
    権限委譲できる部下や予算があれば「有能な怠け者」に化ける可能性がある。

  • 無能な怠け者は、
    考えて自ら動けば「有能な怠け者」に化ける可能性がある。
    考えずに済む点は楽だが、別の人材に置き換えられる可能性が非常に高い。

  • 無能な働き者は、
    本来向かうべき目的を把握することが先決。
    人間だからその団体内の目指す目的についていけないこともある(目指す目的がわからない、技術についていけない、共感しない等)
    思い切って他の道を模索する大チャンスでもある。

個人の見解ですので、その是非を論じるものではありません。
多くの方は「有能な怠け者」を目指せと考えるのでしょうが、私は「いずれもプレーヤーの域は出ていない」と見ます。
せいぜい「うまいプレーヤー」どまりです。

本来はプレーヤーを目指したのでは、どこかで行き詰るときがあると思うのです。
どの企業もそうですが、ある日仕事のやり方が変わったときに「うまくてもプレーヤーは要らない」という事態に陥ることは考えられます。
かつての炭鉱夫がそうだったように、時代で求められなくなれば廃業するしかありません。

プレーヤーはもちろん、ここではマネージャーでもリーダーでもなく、ドリーマーを目指すべきかと思うのです。
ドリーマーとは、何をしたいか夢見る人、模索する人、ビジョンを持つ人の意味です。

クルマでいえば、運転技術の巧拙にこだわるのではなく、そのクルマでどんな人生を楽しみたいか、です。

旅先で家族一緒に温泉に入りたいとか、2人っきりでおいしい食事が食べたいといったことです。
ワンボックスで日本一周のキャンプ旅でもいいでしょう。
それらはいずれも「何をしたいか」であって「運転方法」ではありません。

クルマも自動運転の研究がずいぶんなされていて、いずれ「うまいドライバーは要らないよ」といわれる日がきっと来るのです。
プレーヤーに甘んじず、今から夢を見て実現するよう動いていったほうがいいのではないかと思います。

プレーヤーにこだわらない。

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