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#985 / 2016.01.25

ロボットカー

2016年現在、自動車メーカー各社は自動運転実用化を目指しています。

  • トヨタ(日)
  • 2014年9月、高速道路での高度運転支援システムを公表。2010年代後半に搭載した市販車を発売する計画。
  • 日産自動車(日)
  • 2016年末までに高速道路で一車線での走行、2018年には高速道路での車線変更、2020年に一般道で実用化を計画。
  • 本田技研(日)
  • 2013年歩行者の動きを予測して走行する自動運転車を発表。2020年までに自動運転車の発売を計画。
  • 富士重(日)
  • 2014年に衝突被害軽減ブレーキ「EyeSight (ver.3)」を発売。2020年にEyeSightの機能をさらに発展させる事で自動運転車の実用化を目指す。
  • ZMP(日)
  • 主に研究開発用として自動運転技術開発プラットフォーム車両 RoboCarを発売。
  • ゼネラルモーターズ(米)
  • 2017年に高速道路で一部自動化した自動車の販売を計画。
  • フォード(米)
  • ミシガン大学や保険会社と共同で2025年以降に自動運転車実現を目指すと発表。
  • TRW(米)
  • 2018年に自動運転に対応するカメラの発売を目指す。
  • ベンツ(独)
  • 2010年代後半には高速道路での自動運転車の実現、2025年ごろ一般道での実用化を計画。
  • アウディ(独)
  • 2015年1月米国で900kmの自動運転走行を実施。2017年自動運転機能を搭載した高級セダン「A8」を発売する計画。
  • VW(独)
  • 2011年に時速80mile(128km)以下で自動運転できるロボットカーを開発していると発表。
  • ボルボ(スウェーデン)
  • 2017年から高速道路や一般道で走行実験を行い、2020年に実用化を計画。

その動きは、自動車メーカーだけでなく検索エンジン大手のGoogle社も自動運転車を開発していました。

  • Google(米)
  • 2020年までに高速道路・一般道での完全な自動運転車を販売する計画。

これらの動きはメーカーの技術競争だけの話ではなく、国家をあげてのプロジェクトだったりします。
2015年5月21日、内閣府は「戦略的イノベーション創造プログラム 自動走行システム研究開発計画」を発表しています。

これによれば、自動走行システムの自動化レベルを5段階にわけて推進していることがわかります。
現時点では「安全運転支援システム」が実用化されている段階で、「完全自動走行システム」は2020年代後半を目標に研究・開発されています。

そんな夢のような話は遠い未来のような気がしていましたが、モノ同士をインターネットで結び合う「IoT技術」も叫ばれていますから、あながち大げさな話でもありません。


善し悪しはともかくとして、2016年現在の今、少し考えてみます。
そもそもなんで自動運転の機運があるのでしょう。

まずやはり過疎地の交通弱者問題が大きいのだと思います。
公共交通機関が衰退しバスが1日1本なんて場所に住む方の交通手段が乏しいことが一番の理由でしょう。

さらにいえば、ドライバーの高齢化問題。
とにもかくにも高齢者ドライバーの逆走事故とかペダル踏み間違え事故が著しく多くてひどすぎます。
そのくせ前項の問題もあり、高齢者は免許を手放しません。
高齢ドライバーがステアを握り続ける限り、こうした事故はなくなりません。
交通弱者はわかりますが、それを言い訳に事故を起こしたら、問答無用で加害者なんだということをあらためて認識しないといけません。

そして、これが本命かもしれませんが、運転して楽しいクルマではなく白物家電としてのニーズが多いことも一因かと思います。
ただひたすら低燃費で安全に目的地につくツールでいい、クルマに対してはこうした考えを持つ人は多く、メーカーもそれに答えた車種をたくさん販売してきました。

いずれにせよ、多くの人にとってクルマは操るものから単なる移動ツールと変わっていったように思います。
だからこそ安全に移動できる自動運転実現が課題としてあがってきたのでしょう。


実現までにはさまざまな課題があると思いますが、もし実現したら逆走事故はなくなるし過疎地域での公共交通不足問題は解決するでしょう。
また、居眠り運転や「だろう運転」などのヒューマンエラーがなくなります。
当然、飲酒運転もなくなるから、お酒を飲んでもOKになります。

一方、未知数な部分も多くあります。
免許は不要で子どもでも乗れるようになるのですから、クルマは完全に白物家電化します。
となれば、どのメーカーでも差異の無いクルマになり、自動車メーカーは何社かつぶれるかもしれません。
また、機械でも故障やエラーはつきものですから、ハードウェアや制御システムのトラブルで事故が発生した場合どうするのでしょうか。
これは今後、行政やメーカーなど国全体、あるいは世界全体で考えていかなければいけないことです。

未来への夢を感じる一方で、万一のことを考えると実現までまだまだ先だなとも感じます。

もちろんメーカーやIT企業が躍起になっていますがOS含め機械(ハード面)で乗り切ろうというのは、片手落ちな気がします。
法律・制度といったルール(ソフト面)も同時に決めていく必要はあるのでしょう。
どうにもトータルで戦略を考えていかなければいけないのに、各社が個別に戦術だけを磨いている印象はあります。
とはいえ、誰かが突き進まねば道は拓かれないですから、そこに難癖をつけるつもりはありません。

あとは国がそういった社会インフラにしていくための基盤づくりをどうしていくのか、というところも見て自動運転の未来を楽しみに待つのみです。

私自身、クルマ、とくにMT車が好きですが、事故の無い世の中は到来すべきとも思うので、自動運転車普及に不安を感じながらもその未来に進むのは楽しみでもあります。
もしかしたら30年後、「おじいちゃんが若かった頃は、クルマを自分で動かしてたんだよ」と言っているかもしれません。


時代は未来へ向かっていることは確かです。
ただし一筋縄ではいかないことばかりです。

技術開発の難しさ、MT車ユーザーなど既存客はどうするのか。
機器の故障で発生しうる事故にたいしての法律や制度の整備など、問題山積で実現までには紆余曲折あるでしょう。

そしてこれは個々人や会社レベルではなく社会全体で進めなきゃいけないことでもあります。
もちろん自分でやれるべきところを進めつつも、協調の姿勢も出さなければこの大プロジェクトは実現が難しいと思います。
「おれが俺が」といった自我を前面に押し出した頑張りアピールでは、誰もついてきてくれないでしょう。

これを個人の話としても同様です。
頑張るのは当たり前。
それをPRすることに終始してはダメで、全体の戦略の中でどこにいるのかを常に意識しないとどこかで行き詰ります。

技術屋さんに多いのですが、「何かができます作れます」だけでは及第点なのです。
社会全体や自社などトータルでどんなビジョンをもっていて、そのためにこれを作っている、これをやっているという意識でいないとダメです。
職人よろしく技にこだわるのは結構ですが、ビジョン無いままに技におぼれるのはただの自慰と一緒です。

まずは全体的な潮流をつかむことです。
その中で一部を担うにしても、全体の中のどこにいるのかは常に抑えておきたいものです。

全体的な潮流をつかもう。

追記(2016.01.25記)

IoT=Internet of Things
平たく言えばもの同士が自律して動きあう世界。
ただし、通信がつながらないときやハードが故障しているときまで想像している人はいるのでしょうか?

結局判断プログラムは人間が手掛けるのだろうから、とっさの時の判断は人間を超えられないです。
また通信不能とか部品の劣化で思う動作ができないとき、事故につながるでしょう。
どんなに高性能な部品であれ故障率は0.000……01(10-n)というように完全なるゼロではないのだから、トラブルが発生したことを前提に考えなければいけないでしょうね。

すべてのものが自律的に動きあえば事故を起こす可能性は低くなるだろうけど、絶対に起こりませんと考えるのは少々楽観的過ぎると思います。
性善説だけじゃだめですよね。

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