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#973 / 2015.11.02

暴走高齢者

正常な判断ができない人に、運転をさせてはいけません。
また高齢者ドライバーによる痛ましい交通事故が発生しました。


28日午後2時50分頃、宮崎市橘通東4の県道で、軽乗用車が歩道に乗り上げて約700メートル走行し、通行人らを次々とはね、JR宮崎駅前の交差点近くでひっくり返った状態で止まった。2人が死亡し、運転手を含む5人がけがを負った。
 宮崎県警宮崎北署によると、死亡したのは歩いていた宮崎市堀川町の女性(66)と、自転車の同市の女性会社員(50)。2人は駅前の交差点近くにいた。同市の高校3年の女子生徒(17)が肺挫傷、東京都大田区の男性(68)も左腕骨折などで重傷。20歳代の女性2人が軽傷を負った。
 運転していた鹿児島県日置市東市来町の男性(73)も外傷性くも膜下出血で緊急入院したが、命に別条はない。同乗者はいなかった。宮崎県警は運転手の回復を待って事情を聞く。自動車運転死傷行為処罰法違反などを視野に詳しい状況を調べる。
(読売新聞 2015年10月29日付、人名は伏せました)

その後の調べで運転していた男性が数年前から認知症の治療を受けていたことが明らかになりました。

これに対し地方のクルマ社会で高齢者の移動手段を制限することへの慎重論を謳う記事もありました。
私も地方在住なので自動車が貴重な移動手段であることは重々知っていますが、だからといって運転不適格者を目こぼしする理由にはなり得ません。

何も患っていない高齢者であっても高速道路の逆走だとか一旦停止をしないで突っ込むなど、テロといわれかねない運転をするドライバーもいます。

誰しもが老いていくことを知りながらあえて書けば、むしろ高齢者ドライバーほど更新を厳格化するべきでしょう。
3年や5年に1度などといわず、毎年適正検査と健康診断をしっかりクリアーしなければ免許更新ができないくらいの制度でいいと思います。
ましてや認知症であるなら、クルマを取り上げるくらいでなければこうした悲惨な事故は防げません。

老いることで思い通りにできないことが増えるし、またそれを受け入れがたい自分と現実との差に葛藤を強く抱くものです。
しかしその場にふさわしくないと感じたら、潔く身を退くことです。

退くことを後ろ向きと捉えがちですが、そうではなくて守るための策です。
退かないと自分の想像を超える被害や損失を生み出してしまうことが多々あるのです。
最悪の被害を起こす前に、自分を守り家族を守り、そして落ち度のない被害者を生み出さない。これが守るの意味です。

孫子は兵法で『十なれば則ちこれを囲み、五なれば則ちこれを攻め、倍すれば則ちこれを分かち、敵すれば則ちよくこれと戦い、少なければ則ちこれを逃れ、若からざれば則ちこれを避く』と説いています。
つまり「自軍が相手の10倍あれば囲み、5倍なら攻撃をし、2倍なら分断して、互角なら頑張って戦い、劣勢だと見たら退却し、勝ち目がないほど差があれば戦うな」という意味ですが、相手との戦力差を見て場合によっては退くことを良しとしています。
しかしそもそも現場の様子や自分の力量がわからなければ、まっとうな判断ができません。
そう考えれば退くことは冷静な判断ができている証拠であって、けして勝ち負けではないのです。

どんなシーンであれプライドで意固地になるときは、ほぼ間違いなく状況を悪化させていくときです。
どうせ退くならよりよい状態で終わらせたほうが上策でしょう。
退き際を誤らないよう気をつけたいものです。

現役気分を手放そう。

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