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#970 / 2015.10.10

駐車場設置率

マスコミや老人がのたまう「若者のクルマ離れ」。
しかし、本当は若者だけでなく日本全体がクルマ離れしているのではないかと思います。

私が住んでいるのは自動車を1人1台持つような東北地方の一都市ですが、マンション等の月極駐車場に空きがちらほらと目立つようになりました。
新幹線駅の駅前地区にある駐車場はさすがに常時満杯であることが多いですが、徒歩で10分も離れるとそれなりに空いている状況です。

地方部でこんな状況ですから、公共交通機関の発達した大都会ではさぞやクルマ離れだろうと思いつつ新築マンションの駐車場設置率を調べてみました。
ここでの駐車場設置率(以下、設置率)とは「総戸数に対し、敷地内に設置される駐車スペースの比率」のことで、総戸数100戸に対しマンション敷地内に80台分の駐車スペースがあれば駐車場設置率80%と考える指標です。

株式会社東京カンテイによれば、東京都で設置率24.5%、その他首都圏や近畿圏で70%を切る設置率が報告されています。
一方、地方では90%〜110%程度の設置率でしたが、それでも沖縄県以外の全都道府県で自動車普及台数の水準以下となりました。
都道府県別 新築マンションの平均駐車場設置率および自動車普及台数(2010年〜2014年)より

これらの数字から、首都圏や近畿圏ではクルマを持たないのが当たり前、地方でも普及台数に対して駐車場設置率が小さくても間に合っている、という現状がうっすらと見えてきます。
これは若者だけの潮流ではなくて日本全体のクルマ離れではないかと思います。

考えてみれば、交通機関は発達しネットで注文すれば買い物に行かなくて済む、そして週末にしか使わないのであれば金食い虫のマイカーなぞ要らないと考えるのは至極まっとうです。
そこにきてカーシェアリングシステムが勢力を伸ばしてくれば、わざわざマイカーを買うまでもないのです。

昔はクルマがステータスだったのでしょうが、今やクルマは道具であり金食い虫なのです。
だったら安くて、そこそこ走れば問題ないのです。
だから普通自動車は売れなくなるし、それでもクルマ社会の地方ではクルマがないと困るから維持費の安い小型車や軽自動車ばかり売れるのです。

クルマにもはや高性能はいらないのかもしれません。
低燃費を売りにした電気自動車やハイブリッドカーなどが売れている昨今ですが、多少燃費が良かったところで税金や駐車場代などクルマに固定維持費ばかりかかる日本ではクルマは無用と捉えられても仕方のないことかもしれません。

いくら性能が良くてもコストがかかる存在はやはり敬遠されるのです。

自分のできることより相手の負担を考えよう。

追記(2015.10.10記)

おそらくこれは人間にも言えることで、大企業のベテラン社員や浪費癖のあるご主人や奥様を想像すれば、いくら仕事ができるだの家事ができるだの言ってみたところで不要な存在としか見なされなくなってしまうものです。
自分も頑張っているとか自分はすごいんだと自分の性能をアピールするのではなく、何が相手の負担になっているのかをまずは気づく必要があるのかも知れません。

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