#79 / 2001.09.30
サイバーサヴァイヴァ
〜Cyber Survivor〜
彼は、電脳世界を生きる男だ。
コンピュータ好きがこうじて、大学院まで進んだ。
日々研究にいそしむ姿は、まさにプロフェッショナルだ。
コンピュータ好きというと、現代社会では暗いイメージを持たれる場合が、ままある。
「おたく」とよばれる人達だ。
もちろん彼は、おたくではない。
彼とおたくは決定的に違う。
同じ世界でも、生きる次元が違うのだ。
次元について少し考えてみよう。
まず、1次元<線>。
算数で習った数直線の世界だ。
横軸にどれだけ移動できるか、つまり1つのモノサシである。
プラス方向にいくつ、マイナス方向にいくつという考えだ。
次に2次元<面>。
1次元は「線」だったが、2次元になると「面」になる。
つまり横軸に縦軸が加わる。グラフの世界だ。
(x,y)の座標で自分の位置が見えてくる。
それから3次元<立体>になる。
「面」+「奥行き」、2次元に高さが加わる。
これは私たちが今生きている、現実社会だ。
その証拠に、緯度経度に高度が存在する。
非常に乱暴な言いかただが、「おたく」は2次元で生きている。
紙やコンピュータのディスプレイに描き出されたイラストは、とてもきれいだ。
本やデータで存在する文に感動することもある。
それは否定しない。
イラストや文に感銘を受け、人間は成長する。
むしろ、それらに感銘を受けられなくなったら、それこそ感性の欠如したロボットだ。
ではなくて、2次元世界に映るものに異常に執着しているように見えてしまうのだ。
だからあえて、2次元で生きていると書いた。
次元が異なると影になる、と聞いたことがある。
つまり、こちらからは本質が見えないのだ。
するとあまり宜しいイメージを持たれにくくなる。
これが「おたく」に対する偏見だろう。
まず、偏見は改めよう。
さて、次元にはもう1つある。
4次元だ。
「立体」に「時間」という要素が加わると4次元になる。
今日の3次元、明日の3次元、明後日の3次元。もちろん過去の時点での3次元もある。
そうやってみていくと、3次元を時間軸で表わすことができる。
彼は3次元を通り越して4次元で生きているように思う。
3と4の違いは何か。
3次元は、現実世界に生きているだけだ。
4次元はさらに、時間の流れがある。
研究者である彼は、今までの積み重ねがあって研究者になっているのだ。
天下りや七光りで要職に就いた「ポッと出」の輩とは違うのだ。
過去の積み重ねでその人がいる。
生い立ちからの失敗や感動をすべて凝縮して、現在がある。
先祖からの知恵や教えがあって、その人格がある。
そういった近い過去、そして遠い過去からの潮流をまったく無視してはいけない。
己の経緯を、血の繋がりを否定する必要などないのだ。
彼がクリアホワイトのセダンを選んだのも、大きな流れの中にある一つの構成要素なのだ。
それがあるから今がある。
時間の流れを意識しよう。