#78 / 2001.09.20
トウキョウガール
〜TOKYO Girl〜
「東京へ行くんだ」
そう言い残して、彼女は東京へ行ってしまった。
まだ桜の咲かない、高校を卒業したあの年の3月。
連絡は絶えていた。
正直、忘れていた。
地方都市で学生をしていた私は、東京へ行く機会などまったくなかった。
今年5月に、久しぶりに再会した。
処世術も身に付けた彼女は、まさにオンナだ。
すこし焦った。
俺は成長してるのか。
俺の走る道は、平坦過ぎやしないか。
人間とは不思議なもので、自分と同じレベルの人間にしか出会えない。
イタリア語を本気で勉強している人には、同じような人に出会う。
もしかしたらフランス語勉強家に会うかもしれない。
方向性は違えど、その人の持つオーラで出会いが決まるのかもしれない。
だから、つまらない人間にはつまらない人間しか集まらない。
そして、積極的な人間には積極的な人間しか集まらない。
「つまらない」は、どんな主語がついても、禁句だ。
自分のオーラの強さが出会いに制限をつける、どんどんそうなっていくのだろう。
そう考えると、彼女は私の見える世界からもっと上の次元へ進んでいってしまった。
上の世界にいれば下を見おろせるが、下の世界にいるままでは上は絶対見えないのだ。
だから焦った。
私より彼女の次元が高いことに。
でも私は、抜かれたら抜き返す性分だ。
次に会う時は、彼女が焦る番だ。
東京で生きる彼女には、妖艶の黒が似合う。
「つまらない」ならオーラを高めよう。