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#756 / 2011.09.12

飲むか呑まれるか

お酒は百薬の長と言われますが、判断力を鈍らせるものでもあります。
アルコールと交通事故について調べたらいくつか資料があったので、まとめてみました。


1.酔いのメカニズム

お酒に含まれるアルコールが麻酔作用をもたらすことで酔うのだと言われています。

アルコールは大脳皮質の制御を狂わせます。
大脳皮質は人間の意識や精神活動など理性を司っていて、これが狂うことで大脳皮質に抑制されていた大脳辺縁系(人間の本能や情緒活動など感情を司る部分)の働きが活発になります。

つまり、酔いがすすむと理性のタガが外れるというわけです。

2.呼気中アルコール濃度と事故率の関係

  • 0.25mg/L (0.05%):2倍
  • 0.50mg/L (0.10%):7倍
  • 0.75mg/L (0.15%):25倍

酒の強い人と弱い人に呼気中アルコール濃度が同じ状態でアクセル操作反応時間がどうなるかを調べた実験では、ほぼ同じ結果だったと言われています。
酒の強い弱いに関係なく、呼気中アルコール濃度が運転に影響するようです。

なお、現在の道路交通法では呼気中アルコール濃度0.15mg以上で違反点数13点、0.25mg以上で違反点数25点の行政処分が課されます。

3.単位時間当たりのアルコール分解速度

  • 1時間あたり、体重の1/10gのアルコールを分解

摂取アルコールは、酒量にアルコール濃度をかけて計算できます。
ビール大瓶1本633mLであれば、ビールのアルコール濃度5%(=0.05)なので

633(mL) x 0.05 ≒ 31(g) ※摂氏4度の水1mLが約1g相当

体重60kgであればアルコール分解速度は1時間当たり6gなので、

31(g) ÷ 6(g/h) = 5.17(h、小数点以下第3位で四捨五入)

アルコールが抜けるには、約5時間10分かかるということになります。

量が少なければ、当然アルコールが抜けるまでの時間はもっと短くなりますが、いずれにせよ少量でもお酒を飲んだら交通機関か代行で帰りましょう。

4.血中アルコール濃度と酩酊度

酔いの程度によってはさわやかにもなりますが、度が過ぎれば死に至る可能性もあります。
酒は飲んでも飲まれるな、とはよく言ったものです。

表756 血中アルコール濃度と酩酊度
血中
アルコール
濃度
区分臨床症状酒量
0.02〜0.04%爽快期さわやかな気分になる。
皮膚が赤くなる。
陽気になる。
判断が少し鈍くなる。
日本酒(〜1合)
ビール(中瓶〜1本)
ウイスキー(シングル〜2杯)
0.05〜0.10%ほろ酔い初期ほろ酔い気分になる。
手の動きが活発になる。
抑制がとれ理性が失われる。
体温上昇、脈が速くなる。
日本酒(1〜1.5合)
ビール(大瓶1〜2本)
ウイスキー(シングル2〜5杯)
0.11〜0.15%ほろ酔い極期
(酩酊初期)
気が大きくなる。
大声でがなり立てる。
怒りっぽくなる。
立てばふらつく。
日本酒(2〜3合)
ビール(大瓶2〜3本)
ウイスキー(シングル6〜8杯)
0.16〜0.30%酩酊期
(酩酊極期)
千鳥足になる。
何度も同じことをしゃべる。
呼吸が速くなる。
吐き気、嘔吐が起こる。
日本酒(4〜5合)
ビール(大瓶5〜7本)
ウイスキー(シングル8〜10杯)
0.31〜0.40%泥酔期まともに立てない。
意識がはっきりしない。
言語がめちゃめちゃになる。
日本酒(7〜8合)
ビール(大瓶8〜10本)
ウイスキー(ボトル1本)
0.41〜0.50%昏睡期揺り動かしても起きない。
大小便は垂れ流しになる。
呼吸はゆっくりと深い。
時に死亡することがある。
日本酒(1升以上)
ビール(大瓶10本以上)
ウイスキー(ボトル1本以上)
出典:社団法人アルコール健康医学協会「新適正飲酒の手引き お酒と健康ライフ」

判例では、泥酔した人は「意思無能力者」、つまり自己のしたことを弁識できる精神的な能力の無い状態にある人と解されます。
そういう状態で運転してはいけないことは明らかなのですが、軽く酔った程度で自分は問題ないという人もいます。

軽くても重くても、飲酒後は運転を控えてください。

クルマを凶器にしないで欲しいのです。
軽くても数100kg、重いものでは2.7t近くある乗用車が制御できないまま暴走していることを考えてみてください。
生身の人間など、ぶつかれば簡単に吹き飛んでしまうでしょう。

たった一杯の酒が、人を壊し、あなたも含めた家族を壊し、社会全体に大きなマイナスを与えるのです。
道路交通法遵守の観点だけでなく、一介のクルマ好きとしてもクルマを破壊活動用として扱って欲しくないのです。

どうしても飲むのなら、代わりの手段で帰りましょう。
その選択肢を実行するだけで、たくさんの後悔を防ぐことができます。

後悔してから過去へ戻ろうとしても、戻る方法は一切無いのです。

酒席後の帰宅方法に道理をわきまえよう。

追記(2011.09.12記)

飲酒運転防止:月桂冠

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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