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#753 / 2011.08.21

自動車アセスメント

万が一、事故が発生した場合、あなたのクルマは人間をどこまで保護してくれるでしょうか?

国内では平成7年度より自動車アセスメント(Japan New Car Assessment Program:以下、JNCAP)が実施されています。
JNCAPは、ドライバーが安全なクルマ選びををしやすい環境整備や安全な自動車の普及促進を目的としています。
簡単に言うと、市販車を正面や側面からぶつける試験をして車種ごとに得られた衝突安全性評価を公表しているのです。

対象車種は直近1年間の販売実績が上位のものが選定され、以下の衝突実験を行ないます。

  • 衝突安全性能試験
    • フルラップ前面衝突試験
      (時速55kmでコンクリート製障壁に正面衝突)
    • オフセット前面衝突試験
      (時速64kmでアルミハニカムに運転席側の一部を前面衝突)
    • 側面衝突試験
      (車両の運転席側に質量950kgの台車を時速55kmで衝突)
    • 後面衝突頚部保護性能試験
      (停車中の自動車に時速32kmの同一質量の自動車を後面から衝突)
  • 歩行者頭部保護性能試験
    (歩行者をはね歩行者の頭部がボンネットやフロントウィンドウに衝突した場合の頭部に負う傷害程度の試験)
  • ブレーキ性能試験
    (前席2名乗車状態で時速100kmからブレーキをかけた際の停止距離と停止姿勢)
  • 後席シートベルト使用性評価試験
    (シートベルトのアクセス性、バックルの識別性、バックルへのタングの挿入性、および装着時の快適性の評価)
  • 座席ベルトの非着用時警報装置評価試験
    (シートベルトを装着していない時に警告するパッセンジャーシートベルトリマインダ[PSBR]の装備および作動確認)

これらの結果から、車種ごとに評価を求め公表しています。
>参考・JNCAP

とはいえ、こうした機関の公表した評価が上位だったからといって必ずしも安全かといえばそうではありません。
いくらエアバッグ装着車でも、ステアに近すぎて運転したりインパネ上に物をおいたりすれば、危険度は増します。
エアバッグ作動時の死亡率がシートベルト着用時では0.91%なのに対し、シートベルト非着用時では13.97%と15倍以上も差があるとの資料もあります。(財団法人交通事故総合分析センター、平成18年)

また、乗員のみの安全だけを考えるのも寂しいものです。
JNCAPでは歩行者頭部保護性能試験も実施していますが、歩行者や二輪と事故が起きれば、彼らは自動車の乗員より危険にさらされることになります。
人身事故を起こしたけど中の人にはケガがなくて良かったねでは、人命保護の観点でいえば欠けていると言わざるを得ません。

もちろん事故は起こしてはいけませんが、いざ事故を起こしてもすべての当事者が被害最小限となる対策は必要です。
そのために安全なクルマを選ぶことは、人命保護対策の一つとなりえるでしょう。
ただしこれは起こした後の話ですから、そもそも安全運転で事故を起こさないことが第一です。

こうした話は、衝突試験だけの話ではありません。

先の震災では被災地から200km以上も離れた首都圏で水やガソリンを買い占める騒ぎが起こりました。
その後被災地ではなんでもかんでも被災者だとして、高速無料化チケットを我も我もと求める列ができ、インター出口では20分近くも渋滞が発生したりしました。

人間も動物ですから自分達も生き延びなければなりませんが、自分達だけが良ければ問題ないという発想は人としてあまり褒められたものではありません。
近江商人の「三方よし」の理念よろしく、自分だけが得をするのではなく相手のみならず社会全体が得になるような心で考えなければ、いつまでたっても利己的なままです。

相手や社会の得になれば、いつか必ず自分に返ってきます。
そういった考えができるかどうかが、一個人としてできる人命保護として有効な行動なのかもしれません。

自分以外の人間も守ろう。

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