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#742 / 2011.06.06

エネルギー量

何となくアクセルペダルを踏むと気軽に走れてしまうのが、自動車の長所であり短所でもあります。
1t以上もある鉄の塊を動かしているのですから、そのエネルギーは相当なものであることを常に忘れてはいけません。

よくペダルの踏み間違えで、コンビニ等の店舗に突っ込んでしまう事故があります。

以前作成した停止距離・衝突エネルギーシミュレートでは、車両重量1,300kg、乗員1名、ガソリン50L積載時に時速10kmで衝突した際のエネルギーは 5,372J(1J=約102gの物体を1m持ち上げる時のエネルギー量に相当)と算出されました。

実際に近所で同様の事故があったのですが、その事故でコンビニの正面ドアは完全に破壊されていました。
近くに買い物客がいたら、間違いなく病院送りになっていたでしょう。

本来、駐車時にアクセルペダルは不要だと私は考えています。
AT/CVTならクリープを使えばいいし、MTなら半クラでつなげばいいのです。
スタート時、一気にアクセルペダルを踏み抜くドライビングスタイルが習慣化していると、駐車場での事故を起こす確率が格段に高まります。

エネルギーは前進・後退時に発生するのみではありません。
コーナリング中であれば、遠心力というコーナーの外向きに発生する力もあるのです。

そこで遠心力算出シートを作成してみました。
車両重量1,300kg、最小回転半径5.5mのクルマが時速20kmで駆け抜けた際、車両にかかる遠心力は 7,295N(≒744kg重)。
同条件の車両が時速25kmで駆け抜けると、たった5km/h増加しただけなのに、遠心力は 11,398N(≒1,162kg重)と1.5倍以上も差がありました。
シートを試してみるとわかるのですが、時速が5km/h遅くなるだけでも遠心力が60〜70%程度に抑えられていくことがわかります。
だからコーナリング時にしっかり減速しないとタイヤが負けて、きちんとしたラインをトレースできません。

自動車は、人間自体が発生する以上の移動エネルギーを簡単に発生しうる機械です。
包丁と同じで、使いようによっては素晴らしい道具にもなるし、当然凶器にもなり得ます。

自分がどれほどのエネルギー量を発生させているかを、一度考えてみましょう。
そうすれば、闇雲にアクセルペダルを踏まずに済むでしょうし、優れた機械を作った先人に敬意の念を抱けるかもしれません。

怖さや便利さを含めた本当のエネルギー量を知って、正しく楽しく使いたいものです。

自分の発生するエネルギー量を知ろう。

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