トップ > コラム > コラム No.732
 
トップ > コラム > コラム No.732

#732 / 2011.03.28

ガソリンパニック

あの大震災から2週間。
少しずつ被災地にもガソリンが供給され始めてきました。

私自身、今回の震災で、食料や水と同じくらいガソリンが重要な生活物資であることをあらためて再認識しました。

携行缶があってもガソリンは膨張するし劣化もするから、あくまでも補給用であって保管用途で使えないのです。
ガソリンは必要物資であると同時に、身近にある危険物なのです。

供給源をたたれると、人間は弱いのです。
水や食料は長期でため込んでおけますが、ガソリンはため込めないのです。
せいぜい自動車のタンクくらいですが、被災地ではタンクを無理矢理こじ開けて盗んでいく人も現れましたから、万全とも言い切れません。

ではいつガソリンが届くかと思いきや、公共交通機関の充実した首都圏で給油パニックが発生しました。
せめて1Lずつでも給油を控えてくれたら被災地にまわせるものを、と被災地の片隅から苦々しく見ておりました。
あわせて、なんて情報に翻弄される人が多いのだろうかと、残念な気持ちにもなりました。

しかし、これがパニック状態なのでしょう。
あるものやことを熱望する人が急激に増加して、情報が錯綜しデマもたくさん発生してしまう。
玉石混淆の情報の中で人々が右往左往する様は、当事者同士では解法が見つからない苦しい状況でもあります。

また人間は確たる情報より、信頼する人の意見というだけの理由で疑いなく信じ込んでしまうことがあります。
オバちゃんが「近所の誰さんが言ってたから間違いないわよ」というレベルの情報が、さも真実かのように伝聞してしまうのです。

少なくとも津波のような緊急時には、否応なく逃げることです。
それ以外のすぐに身の危険につながるわけではないようなうわさ話は、真相がつかめるまでは冷静に見極めることが大事でしょう。

何においてもそうだと思いますが、まずは冷静に見極めること。
そして、次の一手を考えましょう。
時には、待つことも大事です。

情報に翻弄されるのは、愚者のやることです。
目先の利益に走るのも、愚者のやることです。

よくわからない状態でうっかり手を出すと、傷を大きく広げてしまうことがよくあります。
情報に対して、直情的に脊髄反射するのはやめませんか?

五感を駆使して現状を飲み込もう。

追記(2011.03.28記)

今回の震災でわかったこと

  • 津波は破壊力が非常に高い。
  • 福島第一・第二原発がすべて首都圏向けの電力を生産していることを全く知らない首都圏在住者の多さ。
  • 携帯電話は使えない、公衆回線やPHSが便利だった。
  • 偽善募金団体や火事場泥棒など、震災に便乗した追いはぎが跋扈した。
  • 救援物資を持たず厚顔無恥で被災地および被災地上空を闊歩する迷惑なマスコミ。
  • ネットやテレビから情報をたくさん享受しているのに、いざとなると情報に翻弄される人々が多い。
  • 「ただちに影響はない」と繰り返すだけの政府。当事者なのに逃げ惑う東電首脳部。
  • 発言に影響力のある方々の言葉の軽さ。
  • 電力需要おかまいなしにプロ野球を強行しようとする球団会長、それに強く指示できない文科省。
  • 原発のある福島県内では、テレビ番組は常にL字画面で放射線測定値を報じ続けていること。
  • 原発のあおりで危険な地域だと誤認識され、被災地に救援物資が届かない。
  • 自主避難せよといわれても、ガソリンもない公共交通もない食糧もないでは死刑宣告と同じ。
  • 酪農等でたくさんの動物を飼っている人は逃げようがない。
しかし、これらのほとんどはすでに今までの歴史で誰もが想定できたことです。
人間というものは、かくも忘れやすい生き物なのですね。
もちろん自戒も込めて。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

サイト内リンク