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#705 / 2010.09.27

有名無実

田舎の追い越し可能区間は、あってないようなものです。

通常、片側1車線区間で前の車を追い越すためには、以下の要素があります。

  • 車線境界線が白の破線である、つまり追い越し可能区間であること
  • 追い越し箇所が、ブラインドコーナー(先の見えないカーブ)でないこと
  • 追い越し箇所が、上り坂の頂上付近でないこと
  • 追い越すターゲットと自車の間に複数台の車両がいないこと
  • 追い越そうとする意思

ひらたく言えば、対向車、自転車、それに歩行者等に自分から衝突する可能性がほぼゼロであれば追い越すようにしています。
他にもあるかと思いますが、少なくとも私は上記のすべてを満たさないと追い越しはしません。

しかし田舎の山間部にいくと追い越し可能区間であるにもかかわらず、地形からブラインドコーナーや起伏の連続で、実質追い越し不可であることが多いです。
少なくとも、開けた直線区間はあまり無いように感じます。

ためしに試算してみましょう。
時速50km/h で走っているA車と、それを追い越そうとする 時速60km/h のB車。
A車後方30m から追い越し始め、A車前方30m に入って追い越し終了したとき、何mかかるでしょうか?

追い越し開始から終了までの時間中、A車は 時速50km/h で走り続けました。
その距離を X(m) とすると、

 追い越し中の時間 [A車]
   = X(m) / ( 50(km/h) * 1000(mに変換) )
   = X / 50,000 ……(1)

またB車はA車を追い越すために、時速60km/h でA車より 30(m) + 30(m) = 60(m) も多く走ることになります。

 追い越し中の時間 [B車]
   = ( X(m) + 60(m) ) / ( 60(km/h) * 1000(mに変換) )
   = ( X + 60 ) / 60,000 ……(2)

追い越し中の時間はABとも同じですから、(1)=(2)となります。

 X / 50,000 = ( X + 60 ) / 60,000

これを解いて、

 X = 300(m)

ただし X はA車が追い越される距離ですから、B車が追い越しに要した距離は、

 B車が追い越しに要した距離
   = X + 60 = 360(m)

となります。
ちなみに追い越しに要した時間は、(1)と(2)のどちらでも構いませんが、21.6秒となります。

360mといわれても距離感が掴みにくいですが、一般道では主に白線5m・間隔5mの1セットですから白の破線36本分に相当します。
結構長いですね。
ちなみに高速道は、白線8m・間隔12mで描かれています。

一般道を最大法定速度(60km/h)以内で穏便に追い越しをするためには、360mかかるのです。
もちろん追い越される車のスピードが遅いほど、追い越しに要する距離は短くて済みます。

360mもの追い越し可能距離は、山間部ではなかなかありません。
自分が遅いことを認識して道を譲ってくれる場合以外は、現実問題として追い越しに踏み切りにくいのです。
道路設計者にどのような意図があったかはわかりませんが、使えない車線境界線では意味がありません。

こうした実際の現状では役に立っていないことやものが、至るところにあったりして困ります。
規制や作業自体が有名無実化していることとか、機械やコンピュータがやれば速く正確にできるのにわざわざ人間がやらなければいけない作業だとか、会社や政治、あるいは個人レベルで考えてみると結構思い当たる節はあったりするものです。

そのものの存在意義を考えたことはありませんか?
そのもの自体を省略できるように工夫してみてはいかがですか?

懸命にやったとて、実りの無いことは所詮、実りが無いのです。
あなたの周りにもこうした無意味なことやものはありませんか?

無意味なものを有意義なものに置き換えてみよう。

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