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#670 / 2010.02.01

Lv99の腰巾着

情報は、安く簡単に手に入る時代になりました。
15年前に比べたら、ネットワーク回線通信費は安価な定額で済むし、携帯電話普及率は10倍以上にも増えました。
(1995年度末 8.2%、2009年9月末 85.8%、総務省調べ)

カーナビもそうで、1999年には住所や電話番号から目的地が検索可能になり、2000年代後半にはPND(Portable Navigation Device:小型ナビゲーション機器)市場も出てきました。
ナビさえあれば、知らない土地でも迷わずいけますし、最近の賢いナビは渋滞回避ルートまで知らせてくれると言います。

言ってみれば、体験するより速く情報を掴めてしまえる、ということです。

少し立ち止まって考えてみると、これはものすごく怖いことです。
つまり、実体験が伴わないまま、頭でっかちになってしまえるということです。
カーナビが無いと走れないなんて人は、きっとまさにこの状態でしょう。

フリーランスの小寺信良さんが以前、「Level1飛空艇症候群」なる言葉を書かれていました。

引用すると「つまりどこにでも行けて、どこにでも降りられる自由を情報として手にしていながら、どこにも降りられない。降りれば自分のレベルでは一撃でやられることを、知識として知っている」とあります。

まさに、同感です。

この言葉は、カーナビ無しでは走れない人にぴったり当てはまります。
ナビから教えてもらう情報で、知識量は明らかに最高レベルなのです。
でも、カーナビが無ければ動けません。
凶悪なモンスター達の棲む大陸に降り立てない勇者のように、まったく知らない土地のど真ん中でただ呆然と立ち尽くしてしまうのです。

最高レベルなのに、ナビ無しでは走れません。
カーナビの腰巾着で、頼りになる誰かがいないと自分では何一つできないというのでは、以後走る道のりは険しいでしょう。

でも、簡単なことです。
他人の助力を得るか、最悪、自分で道を切り拓いていくだけです。

もし知らない土地に行っても、難しいことはありません。
地元の人に聞いてみるとか、現在時刻と太陽の位置から方角を割り出して地図とにらめっこすればいいだけの話です。

その状況になれば、意外となんとかなったりするものです。
ただ注意してほしいのは、なんとか切り抜けられることもあるけれど、それだけで人生すべてのイベントにぶち当たるのは愚策と言うものです。

知識だけレベルを上げても、力がなければ生きていけません。
力のないうちは、誰かに頼りながらでも力を蓄えていくしかないのです。
その頼る先が情報機器ひとつと言うのは、少しさびしいことです。

本当は、自力ですべて解決するのがベストだと思います。
ただ、そうできないケースも多々あります。

そんなとき自力で行けそうなところに至るまでは、恥を忍んでも誰かに教えを請う勇気が、あなたにはあるでしょうか?

迷ったときは、ナビでなく人にも頼ろう。

追記(2010.02.01記)

「意外となんとかなったり」とは書きましたが、世の中にはリカバリーできないことも多々あります。
都心ならいざ知らず、私の住む田舎では携帯電話の圏外地域もまだまだあります。
大丈夫とばかり深入りしすぎると助けることすらできず、本当に命にかかわる状況に陥る場合もあるのです。
そういうこともあるから、楽観的に進むだけがよいわけでは無いことも書いておきます。

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