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#664 / 2009.12.20

1ドル紙幣オークション

降りたいときに降りることが、最善策です。

「1ドル紙幣オークション」、あるいは「ドルオークション」というゲーム理論があります。
たった1ドルを競り落とすだけの、簡単なオークションです。
オークションですから、最も高い金額を提示した人が競り落とせます。

最低入札価格は1セント。
100セントで1ドルです。

ドルもセントも日本人にはなじみが薄いですから、少し問題を変えます。
「最低入札価格は1円。100円を競り落としてください。」としましょう。

多くの人は、しばらく「よくわからない」といった風情で様子を見ます。

そして誰かが「では1円」と切り出します。
1円払って100円を手に入れることができれば、99円儲かるからです。

こうして「1ドル紙幣オークション」が始まるわけですが、実はこのオークションにはあるルールがあります。
それは、競り負けた側も提示価格を支払わなくてはいけない、というものです。

つまり、勝っても負けても提示価格を支払わなくてはいけないのです。
こうなると、どうせ支払うのなら落札しないと元が取れない、となります。

とある大学で模擬的にこのオークションを行なったところ、こんな結果になったといいます。

Aさんが「1円」と切り出し、Bさんが「では2円」と続きます。
こんな雰囲気が続くと思いきや、徐々に提示額は上がり「120円!」「121円だ!」と景品である100円以上のやりとりになってしまいました。

相手には勝たせたくない。
相手が自分より少ない損失になるのは悔しい。
提示価格を吊り上げれば、今より損失を小さくできる。

いずれにしても競り合えばマイナスなのですが、こうした感情から多くの人が降りられなくなるといいます。
結局一番損しないのは、ハナから乗らないことしかないのです。

消耗戦なことがわかっているのに、こんな不毛なことはたくさんあります。
多額の建設費をかけても本当は実入りが少ないのに造り続ける高速道路とか、赤信号が続いているのに隣の車に張り合って加速してみたりとか。

今の状態や権利に固執して降りられないというのは、ただ損失を生み出すのみでとても不幸なものです。

欲望のままに浪費して得たがらくた。
後先考えずに蓄えた脂肪。
身の丈を考えずつくった借金。

それがあるからどうにもならず身動きがとれないように、私には見えます。
いっそ思い切って手放したらどうですか?

あなたが固執するものや権利の大半は、実は手放してもたいしたことはなかったりするものです。
競えばいいというものでもありません。

命と家族以外には、あえてこだわらないでみよう。

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