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#632 / 2009.05.10

クライスラー破綻

米クライスラー社が2009年4月30日、米連邦破産法11条を申請し経営破綻しました。
アメリカ・カナダの公的資金と伊フィアット社の資本提携を受け、クライスラー社は経営再建を目指すことになりました。

破綻理由は諸説あって、世界金融恐慌による販売不振だの、労働者の人件費が高いからだの聞きます。
詳細な破綻理由は他に譲るとして、事実、GMやフォードと並びビッグスリーと謳われたうちの一角が破綻したのです。

残る名門・ゼネラルモータース(GM)も他人事ではなく、2008年末の債務超過額は861億ドル(約8.4兆円)で破綻しかけている現状です。

つまり莫大なコストでみずからの首を絞めている、ということです。

コストに鈍感だと、泣きを見るのです。

そもそもコストとはなんでしょう。
一般的には費用、すなわちお金を指しますが、私の場合、コラムでちょくちょく書いているとおり、お金以外のものもひっくるめてコストとしています。
具体的には、お金や時間、あるいはそれに伴う労力も指しています。

クライスラーの例で言えば、ライバルの日本車が省燃費技術に勤しんでいるとき、あいもかわらず2.4リッター以上の車種しかなく、OBに対する年金にもメスを入れてきませんでした。
さらに半年前には、自家用ジェットで議会公聴会に乗り付けては緊急融資を求むだのこれから合理化するだの都合のよい言葉を並べていたのです。

クライスラー自身は頑張っていたのでしょうが、世間は本気度の低い頑張りなど評価してくれません。

程度の低い頑張りは、頑張りではありません。

よく「頑張っているのだから評価しろ」と感情的に反論する人がいます。
しかし、いくら頑張っても結果が伴っていないのであれば、それはやり方か、そもそもの観点が間違っているのです。

脱線しますが先日、学費が払えなくなった私立高生達が大阪府を相手に抗議した事件がありました。
働くとか定時制に通うとか選択肢はたくさんあるのに、それを行政に何とかしろと言ってしまうところがひどいです。
さらに言えば在学中に学費が払えなくなることも予測しないまま、私立に通わせた家族はもっとひどいです。
義務教育ではないのだから嫌なら辞めなさい、というだけの話です。

結局、自分の非を棚に上げて改善や反省もせず、いきなり他人にヘルプを求めて、それも叶わぬままに自滅するのです。
さすがに同情の余地もありません。

どう乗り切るかを真剣に考えているか否か、が分岐点です。

自身の要求だけ一丁前な人間は、遅かれ早かれ退場を余儀なくされるのみです。
ストイックにすべて自分でこなそうと必死にこなせば万事OKとは言いませんが、まず自分の頭で考えて、それでもダメなら助けてもらうこともありです。
それもなしにハナから助けてもらって当然とか、相手のせいで悪いという考えをしている人は、申し訳ないけれども淘汰されても仕方ないでしょう。

まさしく、今を生きる人すべてに当てはまる考えです。

目先の物欲で安易に長期ローンを組んで高級品を買ってみたり、食べていけているからと仕事のスキルを磨かなかったり、私たちはみんなそうしがちです。
私も俗人ですから、やっぱり安易な道を選んでしまうのです。

そうして自分に多少の負荷をかけることをやめると、ふたたび負荷をかけなくなりがちです。
つまり、いずれ淘汰される選択をみずから選んでしまうことに他なりません。

あえて厳しいことを書きますが、まさに流れるプールと同じです。
進み続けなければ同じ位置すら維持できない、そういうものなのです。

きついけれど、一緒にすすみましょう。

ハイレベルで乗り切ろう。

追記(2009.06.02記)

2009年6月1日、GMは連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用をニューヨークの連邦破産裁判所に申請しました。

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