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#581 / 2008.05.19

距離と時間の心理学I

時間を捻出したいとき、あなたはどうしますか?

たいていの人は、「速くやればいい」と考えます。
60分かかっていたことを55分とか50分、もっと頑張って40分台でできればいいと考えます。

これは間違いではありません。
やることに無駄がなければ、ダラダラやるより少しでもキビキビしたほうが速く済みます。

たしかにスピードを出すために効率的に速く動かすことを考えて実行すれば、速くなるのは当然です。
レースで言えば、他人より少しでも速く走るためにドライバーを養成したり、エンジン換装やボディ軽量化をしてスピードを出せるマシンに仕上げるようなものです。
確かに我々一般ドライバーの乗る市販車より、プロのレーサーが乗るレーシングマシンのほうが少なくとも速いです。

しかし、自分が数割増し速くなっても、現実はそんなに時間短縮できません。

たとえば、100kmを平均時速60km/hで走っているとします。
「速くやればいい」と考えたあなたは、数割増し速ければその分速くなるだろうと考えます。

ここで陥りがちなのは、自分が出した割増分だけ速くなると錯覚してしまうことです。

表581 距離と時間の心理学
スピード割増率(%)距離(km)平均時速(km/h)所要時間(h)所要時間比(%)
0 100 60 1.67 100
10 100 66 1.52 91
20 100 72 1.39 83
30 100 78 1.28 77
40 100 84 1.19 71
50 100 90 1.11 67
60 100 96 1.04 63
70 100 102 0.98 59
80 100 108 0.92 56
90 100 114 0.88 53
100 100 120 0.83 50

表を見てください。
これは、速さを割増したときに所要時間がどれだけ短縮されるかを示したものです。
平均時速60km/hを基準として、1割増から10割増までをまとめました。

これを見ると2割増でも83%、3割増でも77%、さらに5割増でも当初の67%にしか短縮できません。
ここからわかることは、2割増で80%、3割増で70%といったように短縮できるわけではないということです。

私たちの感覚からすれば、2割頑張ったのだから2割速くなったはずと錯覚しがちです。
しかし現実は時間を捻出しようと思って速めても気持ちだけで、実際には思ったほどは速くなっていないものなのです。

コンマ1秒を縮めるアスリートの世界をも否定するつもりはありませんが、速いだけでは時間捻出に限界があるということです。

「速いつもり」という錯覚に気づこう。

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