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#564 / 2008.01.27

新説アリとキリギリス

今までの常識に甘んじてはいけません。

イソップ童話のなかに、かの有名なアリとキリギリスのお話があります。
堅実的なアリに対し、刹那的なキリギリス。
そして冬が訪れ食べ物がなくなると、キリギリスはアリ達から食べ物を恵んでもらうようになってしまいます。

しかし恵んでもらうストーリーとしては、世界中でも日本だけだといいます。
一般的にはキリギリス達は恵んですらもらえず、ついには死んでしまうお話だったりします。
いずれにせよ、将来的な蓄えをしていなければ悲しい結末しか訪れないことを説いたお話です。

幼い頃にこの話を聞いてからは、頑張って稼いで将来のために蓄えることは大事だと今でも考えています。
ですから、目指すべきはアリかキリギリスかと問われたら、私はアリと答えます。

しかしながらここ数年、アリも違うのではないかと考えるようになってきました。

違う理由は、2つ。
「頑張れ」と「将来のために」です。

まず「頑張れ」という言葉。
頑張って2倍働けば、給料が2倍になりますか?
頑張りさえすれば、ワーキングプアの人達は報われますか?

成果主義やワーキングプアが確実に存在する現在で吐かれる「頑張れ」という響きの、ひどく虚しいこと。
さらに「頑張り」が実際に頑張った分ほどにも反映されないから、「将来のために」考える余裕もない。

いくら将来的な計画を立ててみても、実現するとは限らない。
そもそも就職と言う最初のスタート地点すら不平等だったりして、本当にどうしようもない。
計画の失敗率が異様に高い時代です。

だからベクトルを考えずただ頑張ってもダメだし、計画倒れのリスクもしっかり織り込まなければならない。
現代版アリとキリギリスで考えなければいけないのは、まさにこの2点です。

言ってみれば、カーナビのルート計画みたいなものです。

あなたが東京から大阪に向かうとします。
いくらあなたが速く走れても、北に向かっていたら非効率です。
方面があっていても、高速道路でなく下道ではどうしても時間がかかります。
途中の名古屋で事故や災害に巻き込まれたら、それこそクルマを置いて新幹線で行かざるを得ないかもしれません。

そもそも事故や病気で、途中で倒れる可能性も無いとは言えません。

コツコツ走って難なく目的地に着くことだけを考えていればいい時代は、とっくに終わりました。
しっかりした計画は目的地までの道程を照らしてくれますが、リスクの面倒を見てくれません。
計画倒れになるリスクも考えて動かなければ、あなただけでなく周りの人も悲しませかねません。

アリのようにコツコツだけじゃなく、キリギリスのように刹那的でもない。
状況にあわせて機敏に手段を変えられる第三者を目指したほうが良いと思うのです。

厳しいですが、しかし視点を変えればこれほど面白い時代もないと思うのです。

確実に進んでいけるメインの基本手段を考え、それを補うサブ手段もいくつか考えていく。
場合によってはクルマから飛行機に替えたり、逆に自分が行かなくても済む仕掛けをつくる発想もできるのです。

いろいろな戦略性を考えることができて、至極人間らしい生き方を実感できます。

個人でいろいろ考えてみてしかも実践できるのですから、とても面白いことです。
未来の見えない話題の続く昨今ですが、実は未来が劇的に改善されていく前兆と捉えることもできるのではないでしょうか?
少なくとも私は、新しい時代が開ける予感がしてなりません。

堅実さに戦略性を加えよう。

追記(2008.01.27記)

ロストジェネレーションとか氷河期とか。
私などはまさにその世代なのですが、我ながら冷めていると思います。

体よく搾取する人達がいることも知っているし、
旧態依然の慣習にとらわれた人達が一種の奴隷制度を強要してくることも知っています。
いざとなったら国や会社が何のためらいも無く見放すことも知っています。
相談しようにも直近の先輩が10歳以上離れていて、話や意識がかみ合わなかったり。

それがわかるだけに、同じ世代には同情することしきりです。
しかし恨み節を言いたいわけじゃなく、早い段階でそういうことがわかってよかったなと思っています。

経験上、若い時期を放蕩して過ごすと落ちぶれる人ばかりみてきました。
贅沢の味は一度知ると辞められないと言うか、周囲のヨイショを実力と勘違いすると言うか。
そこから這い上がってきてもらうのも、また人生なんだと思います。

最後にウィキペディアによれば、キリギリスが食べ物を恵んでもらおうとするとこう断られるらしいです。
「夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだ?」

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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