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#559 / 2007.12.15

ペタCO2

昨今の大食いブームを反映してか、10のn乗を意味する単位を接頭辞代わりに使う風潮があります。
サイズが多少違うだけなのにメガやギガなど言葉だけが先行しているので、単位について考えてみましょう。

おおきな単位とちいさな単位

表559-1 単位換算I
指数単位(洋)単位(和)
100--いち
101daデカじゅう
102hヘクトひゃく
103kキロせん
104--まん
105----
106Mメガ--
107----
108--おく
109Gギガ--
1010----
1011----
1012Tテラちょう
1013----
1014----
1015Pペタ--
1016--けい
1017----
1018Eエクサ--
1019----
1020--がい
1021Zゼタ--
1022----
1023----
1024Yヨタ禾予し(じょ)
1028--じょう
1032--こう
1036--かん
1040--せい
1044--さい
1048--ごく
1052--恒河沙ごうがしゃ
1056--阿僧祗あそうぎ
1060--那由他なゆた
1064--不可思議ふかしぎ
1068--無量大数むりょうたいすう

表559-2 単位換算II
指数単位(洋)単位(和)
100--いち
10-1dデシわり
10-2cセンチ
10-3mミリりん
10-4--もう
10-5--
10-6μマイクロこつ
10-7--
10-8--せん
10-9nナノしゃ
10-10--じん
10-11--あい
10-12pピコびょう
10-13--ばく
10-14--模糊もこ
10-15fフェムト逡巡しゅんじゅん
10-16--須臾しゅゆ
10-17--瞬息しゅんそく
10-18aアト弾指だんし
10-19--刹那せつな
10-20--六徳りっとく
10-21zゼプトきょ
10-22--くう
10-23--せい
10-24yヨクトじょう

※推奨フォントサイズ:「小」
※単位については諸説あり、これと異なる場合もあります。 (参考:ちょっと便利帳


指数表示ですが、無量大数は1の後ろに0が68個もつく数字で想像もつきません。壮観です。

また無量大数は聞いたことがありましたが、他にもさまざまな単位があることに驚きました。
一般生活では兆や厘までしか使いませんが、極端に大きい数値や小さい数値を容易にあらわせることには違いありません。

ところで、極端に小さいものから極端に大きいものをあらわすことなんてあるのでしょうか?
実は、あるのです。
私達の目に見えない大気中に含まれているあれです。

排ガスに含まれる小さな原子たち

ガソリンエンジンから排出される排気ガスには、次の成分が含まれているといわれています。

  • HC(未燃炭化水素) [有害物質]
  • CO(一酸化炭素) [有害物質]
  • NOx(窒素酸化物) [有害物質]
  • SOx(硫黄酸化物) [有害物質]
  • Soot(すす) [有害物質]
  • CO2(二酸化炭素)
  • H2O(水)

うち、SOxはガソリンの硫黄成分がほとんど除去されているため排気ガスとして測定されていません。
またSootはディーゼルエンジンでは規制対象ですが、ガソリンエンジンでは規制対象外です。

ただし大気中には、しっかり排出されています。
どのくらい出ているかというと車種によってまちまちですが、排出ガス適合規制値までは出されていないのでそれを参考にします。
ガソリン車・LPG車・CNG車・ディーゼル車:平成12年基準低排出ガス車認定基準値を見た場合、以下のとおりです。

  • CO 0.67g/km
  • HC 0.06g/km
  • NOx 0.06g/km

またCO2排出量(g/km)は、当然ですが車種によってもまちまちです。
2007年12月現在のトヨタの車種別環境情報によれば、ランドクルーザープラド:297.6〜234.0、マークX:187〜214、カローラ:127〜171、ヴィッツ94.8〜145.1です。

ここから、ガソリン1リッターあたりの排出量が計算できます。

ガソリン1リッターあたりの排出量(g/L) = 10・15モード燃費(km/L)× 排出量(g/km)

ためしにトヨタ・ヴィッツ(NCP91型 変速機:CVT 10・15モード燃費:18.6km/L)で計算してみます。

表559-3 ヴィッツ(NCP91型)の有害物質排出量試算値
排気ガス成分排出量(g/km)ガソリン1リッターあたり排出量(g/L)
CO2(二酸化炭素)124.8002,321.280
CO(一酸化炭素)1.15021.390
NMHC(非メタン炭化水素)0.0130.242
NOx(窒素酸化物)0.0130.242

地球温暖化の原因とも言われているCO2だけで言えば、ヴィッツはガソリン1リッターあたり2,321gのCO2を排出していることになります。
原子レベルでは見えないCO2も、1リットル分走行しただけで2,321gもCO2が排出されていることがわかります。

チリも積もれば

もし日本中や世界中のクルマがヴィッツだったとして、地球温暖化にどれだけ拍車をかけているのかも計算できます。

世界各国の四輪車保有台数(社団法人日本自動車工業会[JAMA])というデータがあります。
これをみると日本国内では7,569万台、世界合計では実に8億9,682万台もの四輪車が保有されていることになります。(2005年末現在)

仮に往復18.6kmの道のりを365日毎日ヴィッツで通勤したとすると、年間でガソリン365L消費、走行距離は6,789kmです。
これを平均値とした場合、1台だけで年間847kgものCO2が発生していることになります。

ここから国内は年間640億t、全世界で年間7,600億tというとんでもない量のCO2になります。
せっかく単位を話題にしているのですから単位表記すると、全世界で760T(テラ)gです。
現実離れしすぎて、あんまり実感が沸きません。

しかもこれは世界中のクルマすべてが、平成17年基準排出ガス75%低減レベル対応のヴィッツだったらという仮定です。
平均値はもっと上でしょうから、試算値以上のCO2が地球を暑くし続けている、と考えたほうがよさそうです。
ということは、「テラ」じゃなくて「ペタ」レベルのCO2が毎年排出されているといっても過言ではないのかもしれません。

元素の1つ1つは「渺(びょう)」かもしれませんが、実は「兆(ちょう)」レベルの話だったりするのです。
だからこそ私達にできることは、CO2をなるべく出さない乗り方をすることです。

もちろん、クルマに一切乗らないことやCO2排出量の少ない車種に乗り換えることも有効です。
ただ、移動やコストの問題が絡んでくるから行動に移すことは難しいです。
私自身、代替になる輸送手段を提供できるような身分ではないですから、こういう風に走るといいよとしか言えません。
その中で考えたとき、やはりCO2を出さないことが抵抗なく即実践できる手法だと思うのです。

とくにこの時期、原油高騰や賞与額で嘆くより、まさに今できることをやったほうがはるかに有意義です。
単純に節約とかそういった個人レベルの感情ではなく、未来の地球のために実践するのは今しかありません。

明日の自分達のために、アクセル開度を最低限に減らそう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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