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#557 / 2007.12.05

はやさ

「ねぇ、お父さん。」
「ん? なんだい?」
「今のクルマ、なんであんなに急いでいるのかな? 救急車じゃない普通のクルマだよ?」

「あぁ、あの人は、きっとトイレがものすごぉーく近いのさ。」
「そうなの?」
「ははは、冗談さ。」
「ぶ〜〜(怒)」
「でも、そう考えたほうが面白いだろう?」
「面白くないよぉー。」

「ああいう人達は懸命に急いでいるように見えているけど、実はものすごくルーズでだらしない人なんだよ。」
「えっ?」
「そうだろう? 事前に手を打たなかった結果、時間に追われているんだから。」

「でも、あの人にもいろいろ事情があるんじゃないの?」
「たまたま親戚が急病だとかかもしれないね。」
「でしょう?」
「でもそれはたまたまであって100%じゃない。1%とか5%の話をむやみに100%の話とすりかえちゃいけないよ。」

「やっぱり出遅れたら急がなきゃいけないんじゃないの?」
「スタートが遅いから急ごうっていったって、なんでもかんでも挽回できるわけではないんだよ。」
「そうだけどあの人、すごく速かったよ?」

「確かに、お父さん達は追い抜いたあの人を相対的に『速く』感じる。しかし、あの人は絶対的に『早く』出たわけではないんだよ。」
「あんなに速いのに?」
「すぐ横を追い抜いたから、お父さんたちにとっては速く感じられるのさ。」
「近いほど速く、遠いほどゆっくり見えるのかぁ。」
「そう。速度900km/hで飛んでいるジャンボ機だって、地上からみればそんなに速くはないだろう?」

「それなら早く出ればあんなに速く行く必要はないんだね。」
「ところが、そううまくはいかない人のほうが多いんだよ。」

「どういうこと?」
「そういう人のほとんどは遅刻したときしか後悔しないから、絶対にあらためようとは考えない。」
「一生死ぬまで限界ギリギリになってからしか動き出さないってこと?」
「ほとんどの人はそうだな。そうして『ルーズな人』のまま、一生を終えていく。」

「ルーズねぇ……」
「夏休みの宿題をギリギリまでやらない友達みたいなものさ。」
「あぁ、なんとなくわかるなぁ。」
「後からツケを返そうったって、そううまくいくものばかりじゃない。」

「つまり、放置しているのは一番泣きを見るってこと?」
「まぁ、そういうことだな。アリとキリギリスの話は知っているだろう?」
「うん。」

「キリギリスになればなるほど挽回は難しい。」
「『限られた時間を切羽つまってあくせくするのは、心の貧乏人だ』でしょ? よくお父さん言ってるもんね。」
「あぁ。どうせ『はやさ』を求めるのなら、速さでなく早さを追い求めなさい。」
「はーい。」

最初にスパートをかけよう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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