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#511 / 2007.04.28

ハッピーワゴン

このワゴンは、速くはないよ。

超高級車というわけでもないし、 ありふれたデザインだし。

人が快適に乗るための、それはまさしく乗用車。

突出した性能があるわけでもないし、 デザイン的にも感性をくすぐられるものでもないし。

凡庸なワゴンかもしれない。

でもね、エンジンがどうとかタイアがどうとか、 そんなものはいいんだよ。

このクルマを選んで、本当に良かったと思っている。

このシートに、愛する人が座って、その隣に僕が座る。

たったそれだけなんだけれど、 何かやわらかいものに包まれたようなすごくあったかい幸福感で満たされる。

もっと上質でもっと高級感のあるクルマのほうがいいよ、って言われることはままある。
でもそんなクルマは要らない。
うわべだけの高級感なんかで、本当の幸せと錯覚させられるのはイヤだから。

物を目的にすると、結局、幸せにはなれない。
物じゃ、未来へのつながりが見えない。

だって、考えてもみてよ。

どんなにいいクルマに乗ってみたところで、 心から乗せたい人が隣にいないのは、すごくさみしいことじゃないかい?

同じ方向を向いてくれる人がいる。
こんなにありがたいことは、他にはないと思う。

自分だけの幸せを求めていると、いつか破綻する。
とくに今の時代こそ、気を引き締めなきゃいけないんだと思う。

勝つだとか、自己実現だとか。

ずいぶんとまぁ力強い言葉で鼓舞する人たちがいるけどさ、 それって結局、今をどうやって生き抜いていくかって煽ってるだけでしかないんだね。

考え方や生き方は数え切れないほどたくさんあるはずなのに、 自分の幸せを追求させるように仕向けられているとしか思えない。
そして大勢の人が疑いもせず、自己利益最優先で考えてしまう。

そうじゃない。
幸せは次につなげていくものだと思う。

愛する人を乗せ、 その人が次の世代の愛すべき人を乗せ、 次の世代へ、次の世代へと世代をリレーしていく。
そうして大きな物語をつくっていく。

表面的な優劣なんかどうでもいいよ。
未来へ繋がっていると感じるときこそ、人は幸せになれるはず。

だから、あなたと幸せを載せるシートがあれば、ただそれだけでいい。

そして、同じ方向を向いてくれる人がいる。
こんなにありがたいことは、他にはないと思うよ。

本当の幸せを乗せよう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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