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#481 / 2006.10.09

スレイブラット

「ラットレース」なる面白い言葉があります。

カゴの中にいる1匹のネズミ。
彼は懸命に回し車の中で走るのですが、カゴは愚か、回し車からさえも抜け出せません。
どんなに頑張っても、未来はまったく変わりません。
変わるのは、徐々にボロボロになっていく自分だけ。
それを知ってか知らずか、彼はただ必死に走るのです。

転じて、無意味なことに時間もコストも労力もかけながら、その悪循環に気づかないことです。
もともとは、投資家のロバート・キヨサキ氏が唱えた言葉です。

この言葉、実は今の時代で非常に重要なキーワードです。
なぜならば、今の日本をそのままズバリ言い表しているからです。

国民はどんなに稼いでも、生活はいっこうに楽になりません。
むしろ支出ばかりが増えて、どんどん苦しくなっていくのです。

では、たくさん仕事をすればいいかというと、それも大間違い。

そもそも会社にとって、「費用」である給料は払いたくないのです。
そんななかでたくさん仕事したところで、見返りなんて、あっても微々たるものです。

特に今は成果主義なんて謳われて、久しいです。
実力的には1.2倍くらいしか差がないのに、給料は倍以上の差がついたりします。

すると敗者はモチベーションを失い、組織を抜けてしまう。
かといって勝者には、抜けた敗者の負荷がかかり、イヤになって離れてしまう。
仮に離れなかったとしても、5年10年と勝者を保ち続けられるわけではありません。

結局いずれは、全員が敗者になるのです。
それに気づいてしまうと、「頑張る」だの「高める」だのバカバカしくて仕方がないのです。

「働いたら負け」なんてぬかすニートは、現代日本の真理を知っているのかもしれません。
とはいえ、自力で生活できていないだけに、まったく説得力がありません。

ラットチーフ = スレイブ。

大半の日本人は、とても勤勉です。
朝一から夜遅くまできっちり仕事して、休日出勤もいとわずに滅私奉公。
そんなまじめさが、世界的に話題にもなりました。

でも、今はどうなんですか?

会社は、成果主義節で正当に評価しない。
年金は、まず間違いなく満額払われない。

ないないづくしでネガティブなことばかり列挙しましたが、 愚直で勤勉だからといって、今後は報われるとは思えません。

自分も含めて、ほぼすべての日本人はラットでしかないのです。
ちょっとした差くらいでは、びっくりしなくてもよくなるでしょう。

あいつのクルマはベンツEクラスだとかレクサスLSだなんてのは、心底どうでもよくなります。
だって、同じラット仲間なんですから。
ある意味、羨むことすら愚かしいのです。

仕事もそうです。
役職の差なんて本当は微々たるものです。

なかには、部下を本当に「兵隊」とか「コマ」扱いするラットも何人かいました。
上司は部下のサポートをすべきなのに、変な優劣意識で接するのは大変おかしなことです。
とはいえ、所詮は同じ雇われの身でしかなく、もっと酷くいえば奴隷のようなものです。
奴隷が奴隷のチーフになったところで、奴隷でしかありません。
案の定、そのラット達は、例外なく閑職に追いやられていきました。

うがった見方をすれば、今の時代はラット同士で競走させられているのです。
それでも昔は「将来必ずよくなるから」でだませたのですが、今ではまったく通用しません。

新常識人になろう。

多分、今までの常識はまったく通用しません。

ほとんどすべての人は、自分を常識人だと考えています。
だからみな勤勉だし、社会のルールにのっとって生きているつもりです。

でも常識なんて、その時点における大多数の賛成意見でしかありません。

かの物理学者・アルベルト=アインシュタインは、こう遺しています。
「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」
その「常識」がたまたま多数派だっただけで、今後も不変である保障はないのです。

それは、いま天動説を唱える人がいないようなものです。
しかし500年前は、天動説は常識だったのです。
もしその当時、地動説を唱えたとしたら、変人扱いだったでしょう。
地動説で変人扱いされるなんて、今では考えられません。
つまり過去の常識が現在の非常識になることなんて、全然珍しくないのです。

今はまさに、そんな激動の時代の真っ只中です。
しかし逆に考えれば、今までの「常識」を改めなおす素晴らしい好機ともとれます。

さすがに少年法完全撤廃とか社保庁解体とか、個人レベルでなんともしがたいものは他に譲ります。
でも働くことやお金に関すること、あるいは将来のこと、 ことこれから生きていくことについては、今までの「非常識」が主流になるでしょう。

マイカー購入じゃなくて、リース契約が主流になっていくかもしれません。
ハイブリッドに代わって、低公害ディーゼル車が主流になっていくかもしれません。
低所得者が増えすぎて税収減が起こり、大排気量車の税金が今の10倍になっていくかもしれません。

すべて想像の話ですが、予想しないことが次世代の常識になりえるものです。

今までは「常識」の一言で片付けすぎていたのです。
そうして、常識を直視することから逃げてきたわけです。
それでなんとかやってこられたのです。

でも、もう逃げるだけではどうにもならなくなってきました。
その反動は、少子化でまったく豊かになっていかない今の日本を見れば明らかでしょう?
国がそうなのですから、国民だって無関係というわけには行きません。
もうツケを払うしかないところまできているのです。

そういう意味では、私もあなたも同じラットなのです。

今までの「常識」にとらわれているうちは、いつまでたっても奴隷だしラットでしかありません。
これからの「常識」を、一緒に実践していきませんか?

パラダイムシフトに乗って脱ラットしよう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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