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#441 / 2006.01.09

レスポンス厨

レスポンス厨になっては、いけません。

「レスポンス厨」とは、私の造語です。
途中あるプロセスをすっ飛ばし、結果だけを早く求めようとする人のことを指します。

世のなかには即時性が求められることばかりです。
モタモタすることで相手に喜ばれるということは、まずありません。

そのせいか、どんなシーンにおいても結果が早く現れることをよしとする風潮があります。
もちろんそれは悪いことではありませんが、度を超してしまうと害悪以外の何者でもありません。

何を勘違いしたのか、時間をかけないと結果が現れないものまで短期間で結果を出させようとする考えが流行っています。

例えばここ10年間、日本企業ではどこからか「成果主義」という流行語をはやらせてきました。
そんな言葉に流されて結果に時間のかかる教育費や研究費をバタバタと切ったところ、あらたな問題が発生しました。

会社が衰退し始めたのです。

人を教育することは時間がかかります。
「やってみせ、言ってきかせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
旧連合艦隊司令長官・山本五十六海軍大将ではありませんが、相手に学んでもらおうとすれば相応の時間がかかります。

研究開発も、すぐには結果が出ません。
そもそも何もないところから創りだすことは、とんでもないエネルギーと熱意、それと時間もかかります。
加えて勉強するために書籍を買ったり経験することにもお金がかかります。

結果がすぐに出ないからと、教育や研究機関などといった間接部門が削減されました。
すると即結果が出せなくて評価もされないことは、誰もやりたがらなくなってしまったのです。
当然、そういった会社はもともと余裕がないので、無駄を排除しようという流れになっていました。
もしやろうとすれば、それは無駄だからやらなくていいよと本気で止められたのです。

一方、社内の雰囲気は荒みました。
ほとんどの社員は、自分の評価に繋がらないことを一切しなくなりました。
90年代の就職氷河期でこの時期だけ採用を手控えていたため教える後輩がいなかったという問題もありますが、 会社内部では評価に繋がらないばかりか仕事をとられてしまう恐れがあると、後輩に教えることをやめたのです。

それだけでなく成果さえ出せば報酬を増やすとばかりに転職市場が拓けてしまいました。
教えても早々に辞められてしまうのでは意味がないという事実も、荒むための一因だったのかもしれません。
今、西暦2007年問題で知識の継承ができていないまま団塊世代の大量退職が控えていると騒がれていますが、 もともとそういう教えあう風土がなくなっていたことが、やっと顕在化したにすぎません。

結果、商品開発力が落ち、利己的な社員ばかり増えてしまったのです。
こうして他社との競争力はなくなり、相次ぐ不祥事で信頼だけがガタ落ち、 有名な大企業が、今日ではいつ破綻してもおかしくない世の中になってしまいました。

これは、安易に結果を急ぎすぎた末路の一例です。
なんでもかんでも早く結果がほしいと焦ってはいけません。

運転も同じです。

何がなんでも急ぎたいとばかりに、渋滞する幹線道路から裏道にズカズカと入りこんでいませんか?
地域住民の危険車となりながらも狭い道を飛ばしてまで、迷惑をかけていませんか?

クルマを走らせる以上、地域住民の迷惑になる運転は、人間としてとても恥ずかしいことです。
もしその栄光の影に多くの人の苦しみがあるのなら、独裁国家のバカ将軍となんら変わりありません。
いますぐクルマを降りるべきでしょう。

スピードだけが善だと思っていませんか?
ステレオタイプ思考だねと言われていませんか?

すぐさま表面化する短期的な結果ばかりを求めてはいけません。
もうちょっと、待てませんか?

結果とプロセスを天秤にかけてみよう。

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