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#408 / 2005.05.21

交渉術

交渉に、勝敗を求めてはいけません。

ところが交渉術というと、相手にどうやって勝つかといった勝ち負けとして捉える人が結構多いものです。

クルマ、こと新車の購入においては、値引き交渉があります。
外国産車はどうかわかりませんが、国産の新車で見積を取ると、たいていの場合は値引き額を提示してきます。
新型車だったり競合他車がいない場合はあまり値引かない傾向がありますが、普通は支払い金額の1割近くを値引くようです。
(もちろん車種や販売店にもよるので、一概には言えません)

自動車購入を売りにした雑誌では、限界値引き額やら交渉術が載っています。
ところが、揺さぶりをかけろだの、限界値引きを引き出せだの、やたら熱い言葉で書かれています。
そんな熱い言葉を信じて実際に交渉したところで、たいした成果は得られません。

損か得か、ということは結果であって、最初から結果を求めるのは間違っています。

交渉の本当の目的は、双方が納得できる行動を起こすことにあります。
例えば、あなたが買う側でなく売る側だとして考えてみましょう。

今すぐ買いたいというホット客なら、あなたは大歓迎でしょう。
しかし、「私は客だ!いいから値引け!」というガツガツした姿勢でくる客だったら、嫌になりませんか?

営業担当者には、会社から許されている値引き限度額があります。
また、販売会社とて、赤字を出してまで販売する必要なんかないのです。
それに、ガツガツした客に売ってしまうと、これからのメンテナンス等でずっとつきあっていかなければいけません。
売る時に嫌な思いをして、さらに点検やトラブルのたびにガツガツされるのでは、売らないほうがマシです。

つまりガツガツするのは、非常に間違った交渉術だということです。
自分の利益だけのためになりふり構わず、というのはいけません。

相手をニコニコさせたら、こちらもニコニコできるのです。
つまり正しい交渉術は、相手の利益のためにという姿勢で臨むことです。

さきほどのガツガツした交渉では、買い手のみ得したくて売り手のうまみがありません。
そうではなくて、相手の利益も考えて交渉するのです。

単に値引けと迫るよりは、これからのお付き合いも含めてお世話になることをにおわせつつ、 双方が納得できる金額に落とし込むことです。
クルマ単体での販売利益だけでなく、自動車保険の加入や購入後の定期点検もお願いしたいとなれば、 売り手は多少値引いても、長期的には利益につながると考えます。

こういった相手の利益も考えた上で、やりとりしていくのです。
単に「自分が得したい!」というのは相手にひかせるだけであって、結局、損なのです。

交渉というと仰々しいですが、普通の会話においてもそうです。
会話は相手とのキャッチボールであるはずなのに、自分で主導権を握ろうとして相手を辟易させてはいけません。

「ていうか」で自分の話にもっていきたい人。
「自分はこういう人だから」と話を聞こうとしない人。

話の主導権を握りたがる人ほど、たいした話はしません。
しないというより、できません。
会話でしゃべることだけが目的ですから、実のある話なんて持っていないのです。

あなたが会話する時は、ガツガツ話そうとするのではなくて、どんどん聞くようにすることです。
つまり押し一辺倒でなく、引き一辺倒で会話するといいと思います。

聞くことで相手に共感し、聞くことで相手の利益を探すのです。
その相手の利益のなかに、自分の利益も見出していくのです。
これが正しい交渉術です。

いっときの主導権で、これからの利益を失ってはいけません。

相手を幸せにしよう。

追記(2005.05.21記)

経験上、内外出版社の月刊自家用車が、 一番信頼できる値引き額で載っていますね。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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