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#406 / 2005.05.08

ワルのり

「いい子ちゃん」は、いいドライバーになれません。
「ワル」じゃなければ、いいドライバーにはなれません。

街にはなぜか、自分をよりよく見せたがる人が多いです。

型落ちのインスパイアやエスティマが、超扁平タイアをツライチで装着していたり、 テールランプをユーロテールに変えていたりします。

確かにカッコいい。
ワルっぽく見えます。

しかし、本当のワルではありません。
表面だけワルぶってみても、中身が伴っているかは、また別問題です。

では、いい子ちゃんに見せていればいいのかというと、そういう問題でもないのです。

見た目ノーマル、中身もノーマル、ついでに成田山の交通安全お守りもつけたりして、公道では絶対に速度制限を守る人。
そういう人は堅実だけど、堅実すぎてつまらないです。

ワルを、本物の悪人と勘違いしてはいけません。
ワルとは、次のさらに次を見ることができる人間です。

ズケズケとものを言っては敵を増やして開き直っている人がいます。
とにもかくにも最上級グレードを指名買いする人がいます。

そこで終わってはダメです。

仕事できっつい一言をかます人がいますが、それは成長してもらって数年後に相棒なり後釜にするつもりならそれでいいのです。
それもなく単にこの野郎と怒鳴るのでは、ただの「悪い人」でしかないのです。

クルマのディーラーや家電販売店にいってもそうです。
最上級グレードがベストだというのは、そこで思考停止している証拠。
大きすぎて使えない、無駄な機能は使っていない、なんていうのは買い方が下手なだけなのです。
そのクルマで何がしたいのかが、全然見えてきません。

そこで終わってはダメというのは、恋人ごっこに似ています。

そこらの薄っぺらい恋愛マニュアルには、ここでこうしろ、あそこではああしろ、といった口調で書いてあります。
でもそれだけで、女からの意見がないのです。
男からアプローチの一点ばりで、される側の心情についてはたいして言及がありません。
たまには焦らせ、みたいな事も書いてありますが、そのまま疎遠になってしまうなんてケースもいっぱいあるのです。

女もそう。
自分を着飾る服はある。
コスメの道具もノウハウもある。
なまじ、男の誘惑方法も知っている。

でも、それだけです。

簡単にくっつこうとしか考えていないから、恋人つくって終わり、になってしまうのです。
結婚したあとのこと、子供を作ったあとのことがすっぽり抜け落ちているのです。

世の中は、どんどん楽な方向へ向かっています。
クルマはオートマ、手紙はメール、電話はケータイ。
なんでもかんでもお手軽に、そして手を煩わせない手段へと置き換えられていきます。

従順ないい子ちゃんほど、それに乗っかってしまいました。

だけど、ワルは全部考えています。
全部考え、最後はこうしたいという強い欲望があるから、必死でシミュレートするのです。

これは、運転もそう。
例えば、追い越しする時を考えてみます。

まず、「前のクルマが遅い!なら、追い越そう!!」というのは、一番愚かです。
周りを考えず、短絡的に行動するのが一番よくないのです。

追い越しできるかどうかを確認するのが先決です。
追い越し禁止区間なのか、道路幅に余裕はあるのか、クルマや人が出てきそうか、などを確認するのです。
場合によっては、その先にある車線減少区間までの距離も考えなければいけません。

それから追い越した時のシミュレートしてみるのです。
バックミラー(リアビューミラー)に追い越し車線のクルマはいるか、 サイドミラーに追い越し車線のクルマはいるか、 さらに、目視してみてすぐ傍まで追い越し車線のクルマはいるか、全部確認します。
ここで、自分のことも考えなければいけません。
自車のエンジンが非力な場合、加速力が弱いと後続車両にぶつけられます。
とくに軽自動車の場合、高速道での加速に時間がかかることもあり注意が必要です。

これらのことを全部確認して、全部OKになって初めて追い越しができるのです。

何においてもそうでしょう。

その行動を起こすとAになる。そしたらBが起きる。
そうなったら、もしくはそうさせないためには……と、次の手がどうくるかを何手もシミュレートするのです。
その上で、最終的に自分の一番得になる手を打っていくものです。
ワルってのは、プロの将棋指しみたいなものなのです。

今とった行動は、すべて未来に繋がる重要な一手。
未来を活かすも殺すも、すべては今の結果次第なのです。

その手を打つ前に、何手もシミュレートしていますか?

次の次までシミュレートしよう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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