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#394 / 2005.02.26

勲章セブンティ

運転歴は勲章になる。

70歳以上ドライバーの運転するクルマは、高齢者マークをつけることとされています。

ところがこの高齢者マーク、 「枯れ葉」だの「なみだ目」だの言われて、あまり評判のよいものではありません。

ことに高齢者マークをつけたクルマほど走行速度は遅く、視野が狭い。
しかも彼らは、慣れた道ほど一時停止や左右確認などを怠るものだから、ますます手に負えません。
本人はあくまでもルールに即しているつもりなのですが、大事なところでツメの甘い運転をしてしまいがちなのです。

高齢者ドライバーは「若者ほど飛ばしたがるから危険だ」とお決まりの常套句で仰せになりますが、 その若者にしてみれば「周りを無視したはた迷惑な運転をするから、高齢者は危険だ」なのです。

年代が異なる相手に対して思わず文句を言ってしまうから、相手もそれに反発してしまうのです。
本来は危険を指摘するくらいの軽い気持ちで提言したつもりが、いつのまにかケンカになってしまうものです。
これは悪循環に陥るパターンです。

そもそも絶対に危険を冒さないドライバーなんてのはいない訳ですから、 うかつに指摘することは、互いに欠点をあら探しするくだらない水掛け論をひき起こしてしまう原因にもなりえます。

年代の差は、思いのほか埋まりません。
でも、自分と共通項のある人からだと、差を感じずにすむものです。

秋田県鹿角市で、こんな取り組みがあります。
高齢者ドライバーたちが教習所に集まり、一人が運転して他の全員がその運転を周りからチェックするのです。
そして、全員が一度は運転役になり同年代の仲間から長所と短所を教えてもらうのです。
こうすることで、冷静に客観的に自分の運転を見つめなおすことができます。

老いることで、判断力が鈍るのは仕方のないことです。
そしてそれを見て、高齢者を邪魔に感じるドライバーもいます。
事実、私自身もそう思ってしまう時があります。
それだけに、若いドライバーから指摘されると「この若造が!」と反発したくなるでしょう。

少しだけ、冷静になりましょう。

高齢者は若年者といがみ合うために走るのではなくて、 模範ドライバーとして、われわれ若年ドライバーのお手本を示してほしいのです。

高齢者マークは高齢者の知恵を教える人だけに与えられたあかしです。
だから高齢者マークはちっとも恥ずべきものではありません。
むしろ誇るべき勲章です。

ゆっくり走るのは、いちいちせかせかするなということ。
煽られても動じないのは、常に慎重さを失うなということ。

こういった心得を身をもって教えてくれるのは、人生経験の豊富な諸先輩のなせる業です。

そしてそんな諸先輩がたの直後を走るとき、 そこに、高齢者の知恵が見えれば、あなたももう一人前です。

あえて、高齢者と同じ速度で走ってみよう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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