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#392 / 2005.02.12

クールビューティ

颯爽とクルマをあやつるいい女。

いちいち誰かとつるまない。
追い詰められても逆ギレしない。
他人の挙動に過剰反応しない。

クールに駆けぬける人を、素直に美しいと思います。


クールと言っても、冷血人間を指すわけではありません。
むしろ、クールな人ほど熱い心の持ち主です。
熱いけれども、感情にあらわさない。そういう人です。

こと運転において言えば、ドライバーは常にクールであることが望ましいでしょう。

ドライバーなんてのは、軍隊の指揮官みたいなものです。
指揮官がいちいち感情的になって周りが見えなくなっていたら、部下の命はいくつあっても足りません。
場合によっては、指揮官であるあなたの命すらも危ういでしょう。
第一、あなたの精神論を押しつけられて特攻をかけさせられる部下の身に、あなたはなったことがありますか?

つまりは、そういうことです。
あなたの感情ひとつであなたに振り回される存在がいることに、あなたは気づいていますか?


クールな人は、耐えることができる人です。

感情を押し殺しているわけではありません。
感情がマヒしているわけでもありません。

例えば、目の前で急ブレーキをかけられたとき、前のクルマに対して、あなたは罵声を吐いてはいないでしょうか。
もし声に出さなかったとしても、あなたはそこで舌打ちしてはいないでしょうか。

それは、ドライバーとして美しいのでしょうか?
それは、美しくないと思います。

感情が理性で抑えられなくなった時、人は醜態を晒すものです。

仕事でも同じです。
クールじゃない人は、まったく美しくありません。
これは女もそうだし、男もそうです。

会議なのに相手を論破することが第一義になってしまっている人。
責任を追及されると、あいつが悪いんだと仲間を「売る」人。
いざとなると大声出して逆ギレする人。

今起こっている現実にいちいち反応すると言うのは、こういうことです。
これをされると、「あいつ、キレた!」という空気がその場を支配します。
これが、仲間の士気を激しく奪います。
苦しいながらもチームが耐えている時に、一人でもキレだすと、そのチームは統制が取れずに自滅します。
だからどんなに仕事ができても、すぐ感情的になる人は使えない、と周囲は気がついてしまいます。


本当は、だれしも感情豊かでいいのです。
それでもクールがいいと書くのは、いざと言う時に、感情を制御しきれる美しき人が少ないからです。

クールな人ほど、心の中じゃ感情が爆発しています。
それをあらわにしないのは、キレずにグッと奥歯を噛みしめて堪えているから。
クールな人は感情制御力に長けています。そこがカッコいいのです。

感情制御力こそ、ドライビングに必要です。

生きることにおいて、感情制御力はとても必要だと思います。
なんでもかんでも意のままに振舞ったら、誰もついてこないし、誰の支持も得られません。
そこで焦って「何でついてこないんだ!?」とキレようものなら、さらに人は離れてしまいます。

感情の制御ができない人は、自分だけがかわいいというだけの人です。
感情をむき出しにすることで自己愛が強い人とばれてしまうから、誰もついてきません。
そして、何をやっても一人ぼっちになってしまいます。
きっと「一人は気楽でいい」と言いだすでしょう。
でもそんな強がりを言うようでは、生きていくうえで幸せになれるわけがありません。

人間生活においては、感情制御力がない人はどんどん損をします。
これはドライバーの行動にも当てはまります。

購入商談では、ブチ切れたらより安く買えないし、受けられるサービスも粗末なものになっていくでしょう。
公道で、いちいち罵声を吐いていたら、同乗者ならずともあなたの心象は悪くなる一方です。
それこそ事故を起こしてぎゃあぎゃあ喚いていたら、パニックになって収まる騒動も収まらなくなります。

感情的になって自分の思いを出せば出すほど、願ったようには受け入れられず、一方的に損するだけです。

何でもいいのです。
まずは奥歯を噛みしめて、グッと一旦飲み込んでみましょう。
クールに駆けぬけるとは、そういうことです。

熱くなってもいいのです。
でも、熱さを見せたら、負けなのです。

奥歯でこらえよう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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