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#382 / 2004.12.04

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「ゼロジーストップ」

私の作った造語です。
クルマの完全停止時に、前方向へのつんのめり感を極限まで抑える停止方法を意味します。

これを実現する場合、繊細なブレーキペダル操作が求められます。

ゼロジーストップの基本は、完全停止時のまさに寸前でブレーキペダルの踏力を抜いてあげることです。

そもそもブレーキを踏むことでクルマの運動エネルギーを熱エネルギーに変えるわけですが、 慣性の法則によって、乗員は減速に要した分のつんのめり感を受けるわけです。

このつんのめり感が完全停止時まで蓄積され、停止と同時に「カックン」となるわけです。
この蓄積は、そもそもブレーキを踏むことで生まれているのですから、ブレーキを踏まなければ解消されるのです。
したがって完全停止の寸前でブレーキの踏力を抜き、つんのめり感の蓄積をなくせば「カックン」も起こらないわけです。

ゼロジーストップは、AT車だとやりやすいです。

私の経験からすると、ゼロジーストップはAT車こそしやすいです。
AT車にはクリープ現象がありますので、ブレーキペダルの踏力加減でゼロジーストップが実現できます。

代わりに難しいのは、MT車でのゼロジーストップです。
基本はAT車と同じでブレーキペダルの踏力加減でいいのですが、タイアのグリップ力に左右されやすいのです。

減速中は、運動エネルギーを減らしながらもまだグリップ力より大きいわけですから、クルマは減速しながら進みます。
しかし、減速しきって運動エネルギーとグリップ力の大小関係が逆転した途端、クルマはピタッと停止します。
このとき、急激に運動エネルギーが0になるので、乗員は「カックン」とつんのめるわけです。

前回のコラムでも書いたように、私がMT車に乗る場合、完全停止時にはブレーキを踏んでいないことが多いのです。
ほとんど自然停止まかせですので、タイアのグリップ力によるところが大です。
私の場合、冬季はスタッドレスタイアですが、通常時はノーマルよりグリップ力を高めたタイアをはいていますので、 わずかながらですが「カックン」しやすいのです。
ですから本来ならば、ブレーキペダルから足を離すとゼロジーストップの実現は難しいのです。

「カックン」しないように止まるには、ブレーキを踏むタイミングと、とくにブレーキペダルの踏力が要求されます。
単に強く踏めばよいわけではなく、また踏力が弱すぎれば追突してしまいます。
絶妙なサジ加減が、ゼロジーストップの大事なポイントです。

要は、叱るときと同じです。

誰かを叱ろうとするとき、相手をぐうの音も出ないほど叱責してしまいませんか?

最後までガーッと責め続けることで相手は反感だけを募らせています。
そして責め続けられた相手は、反撃するか辞めてしまうかしてしまう。
言わば、ブレーキをギューッと踏み続けてカックンするのと同じです。
自分の大事なパートナーを失うわけですから、「大きくブレーキ」になることには違いありません。
そもそも最後までガーッと責めるということは、感情任せに怒っているということであって、 叱るとは別次元のものです。

そうではなくて、最後は力を抜くことです。

つまり、叱責するばかりで終わってはいけないということです。
叱責してもいいのですが、最後の最後で「でも、ここは良かったよね」と良かった箇所を褒めることです。

この世の中、失敗したくて失敗する人はいません。
結果的に、何らかのアクションをとって失敗するわけですから、その積極性だけは少なくとも評価に値するはずです。

そうでなければ、何もしなければ失敗しないとばかりに、誰も何もしなくなってしまいます。
こんな減点主義なんか、邪魔なだけです。

停止も人間関係にも、「カックン」は要りません。

最後だけは、力を抜こう。

追記(2004.12.04記)

加速より減速が上手い人が、運転上手だと思います。

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