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#339 / 2004.03.30

エナジー・ゼロ

石油の枯渇する日。

小さいころ、地球上の石油はあと30年分しかないなんて話を聞かされたことがあります。
限りある資源だから有効に遣わないといけないよ、と当時よく聞かせられたものです。

もしかしたら、本当は30年を軽く超えてしまうぐらいの埋蔵量があるかもしれません。
あるいは30年どころか、実際は残り5年しかないかもしれません。
この議論はここではしませんが、いずれにしても石油がなくなる日にむけての話をしましょう。


石油枯渇が叫ばれ続けていた1997年。1台のクルマが発表されました。トヨタ・プリウス(NHW11型)です。
エンジンの他にモーターや発電機、それにバッテリーを積み、1,500ccでありながら軽自動車並みの低燃費を実現したのです。
その仕掛けは、エンジンに負荷のかかる低速発進時にモーターで駆動させ、走行中はエンジンとモーター、 減速は回生ブレーキによる充電をこなすというものです。
そのメカニズムもさることながら、それでいて立派に4ドアセダンだったのです。

しかも価格は発売当初で215万円と、庶民がけっして買えない価格ではありませんでした。
世界初のハイブリッドカーが200万円台で買えることにも驚かされました。

あれから7年。他社も負けじとハイブリッドカーを発売しました。

100台限定発売の日産・ティーノ、2シータークーペのホンダ・インサイト。
2003年1月には軽自動車初のハイブリッド、スズキ・ツインが発売されました。

しかしプリウスのように話題にはなったものの、市場の反応はいまいちで、 依然として名実ともにトヨタの一人勝ちです。
トヨタは追い討ちをかけるかのように、エスティマ、アルファード、 そしてクラウンにもハイブリッドモデルを追加しました。

こうした石油消費が少なくて済むようなクルマは、将来の地球と我々のために求められていると言えそうです。
ハイブリッドカーに限らず、今はこうした低燃費技術があります。

  • 直噴エンジン
    空気のみ吸い、シリンダ内に直接燃料噴射する。燃料調節が容易。三菱GDIエンジンが有名。
  • ディーゼルエンジン
    低燃費、熱効率良、CO/CO2(一/二酸化炭素)、HC(炭化水素)排出量少。欧州では主流。東京都知事は毛嫌い。
  • CNG(天然ガス)
    熱効率高し、CO2排出減、ただしインフラが進まず。
  • 電気自動車
    排ガス0。しかし後続距離短し、都市型クルマ。日産ハイパーミニが既に市販化。やはりインフラ進まず。
  • 燃料電池車(フューエルセル)
    水素と酸素の反応で発する電気で動く。メタノールから水素を抽出する方法が有力。

しかし、それぞれにメリット/デメリットがあり、各社が未来を模索している段階であります。
それでも今の日本国内で現実的なのは、やはりハイブリッドカーなのかもしれません。


ガソリンに代わり、アルコール燃料を主成分とした低公害燃料がありました。

当時、アルコール燃料「ガイアックス」を知って、私は2、3度給油しました。
地球環境のために、とかそういう意識ではなく、単に安かったからという理由からでした。
北関東の某ガソリンスタンドでリッター単価92円だったのに対し、 ガイアックスではリッター単価86円で入れた記憶があります。

安いくらいにしか思っていなかったガイアックスですが、実際にどんな燃料なのかを少し調べたことがあります。

表339-1 10/15モード排出ガステスト結果
10/15モード
排出ガステスト結果
車両A(平成11年式) 車両B(平成10年式) 53年許容限度
規制平均値
規制平均値
ガソリン100% ガソリン50%
ガイアックス50%
ガイアックス100% ガソリン100% ガソリン50%
ガイアックス50%
ガイアックス100%
CO(g/km) 0.29 0.06 0.02 0.86 0.38 0.1 2.7 2.1
THC(g/km) 0.03 0.01 0.02 0.12 0.04 0.02 0.39 0.25
NOx(g/km) 0.06 0.08 0.3 0.03 0.12 0.24 0.48 0.25
CO2(g/km) 170.5 163.7 161.9 149.4 145.4 142.6 --
燃料消費率(km/?) 13.6 13.1 12.1 15.4 14.7 13.7 --
ホルムアルデヒド(mg/km) 0.77 1.42 1.52 NO 0.53 1.81 --

これに対し、環境省はこう発表しました。
「CO、HCは改善する傾向だったものの、NOxは悪化する傾向を示した。
その他、CO2および燃料消費率はほぼ同等となり、アルデヒド類の排出量は悪化する傾向を示した」

くわえて業界各社との軋轢もあり、ガソリン税の課税されないアルコール燃料に対して反発も少なからずありました。

こうしたなか、ホンダ・オデッセイが燃料漏れで車両火災を起こしてしまいました。
その車両に使用されていたのが、ガイアックス。
さらにガイアックスを使用した車両では、その後2ヶ月間に9件のトラブルが発生したのです。
その内4件は車両火災まで起こしてしまいました。

それを聞いた時、ぞっとしました。

幸い、私のクルマでは不具合も出なかったからよかったものの、 別のクルマに乗っていたら私も燃えていたかもしれませんでした。

結果、高濃度アルコール含有燃料は販売できなくなりました。
ガイアックスもエピオンも、今は給油できません。

幸か不幸か、私はアルコール燃料まで試していたのです。


でも、きたるべき燃料枯渇時代に向けて、何をすればいいのでしょうか。

ディーゼルは悪者扱いされ、電池自動車はいっこうにインフラも進みません。
期待されたアルコール燃料も、国や業界、自動車メーカーが叩き潰す始末。
当面は、みんなプリウスでも乗っていなさいということなのでしょうか。

思い切って、乗らないことも選択の一つです。

エコドライビングについてこれまでいろいろ説いてきましたが、 石油消費を減らす究極の方法は、クルマに乗らないことです。

とはいっても、まったく乗らないというわけではなく、 乗る時を見極めるのも大事なのではないでしょうか、ということです。

少なくとも、近場に行く時は、徒歩か自転車で行ってみましょう。
思い切ってクルマから離れてみるのも、また楽しいものです。

休車日を作ろう。

追記(2004.03.30記)

2001.07.12(ハイブリッドカー)、 2001.06.05(ガイアックス)に技術論としてアップしたテキストを修正しました。
どこにでもクルマで行くというのは、近い将来できなくなるのでしょう。
でも、走りたいですね。
参考文献:最新クルマの事典/岩倉正道著(成美堂出版)、月刊自家用車 2001年7月号(内外出版社)

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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