エナジー・ゼロ
石油の枯渇する日。
小さいころ、地球上の石油はあと30年分しかないなんて話を聞かされたことがあります。
限りある資源だから有効に遣わないといけないよ、と当時よく聞かせられたものです。
もしかしたら、本当は30年を軽く超えてしまうぐらいの埋蔵量があるかもしれません。
あるいは30年どころか、実際は残り5年しかないかもしれません。
この議論はここではしませんが、いずれにしても石油がなくなる日にむけての話をしましょう。
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石油枯渇が叫ばれ続けていた1997年。1台のクルマが発表されました。トヨタ・プリウス(NHW11型)です。
エンジンの他にモーターや発電機、それにバッテリーを積み、1,500ccでありながら軽自動車並みの低燃費を実現したのです。
その仕掛けは、エンジンに負荷のかかる低速発進時にモーターで駆動させ、走行中はエンジンとモーター、
減速は回生ブレーキによる充電をこなすというものです。
そのメカニズムもさることながら、それでいて立派に4ドアセダンだったのです。
しかも価格は発売当初で215万円と、庶民がけっして買えない価格ではありませんでした。
世界初のハイブリッドカーが200万円台で買えることにも驚かされました。
あれから7年。他社も負けじとハイブリッドカーを発売しました。
100台限定発売の日産・ティーノ、2シータークーペのホンダ・インサイト。
2003年1月には軽自動車初のハイブリッド、スズキ・ツインが発売されました。
しかしプリウスのように話題にはなったものの、市場の反応はいまいちで、
依然として名実ともにトヨタの一人勝ちです。
トヨタは追い討ちをかけるかのように、エスティマ、アルファード、
そしてクラウンにもハイブリッドモデルを追加しました。
こうした石油消費が少なくて済むようなクルマは、将来の地球と我々のために求められていると言えそうです。
ハイブリッドカーに限らず、今はこうした低燃費技術があります。
- 直噴エンジン
空気のみ吸い、シリンダ内に直接燃料噴射する。燃料調節が容易。三菱GDIエンジンが有名。 - ディーゼルエンジン
低燃費、熱効率良、CO/CO2(一/二酸化炭素)、HC(炭化水素)排出量少。欧州では主流。東京都知事は毛嫌い。 - CNG(天然ガス)
熱効率高し、CO2排出減、ただしインフラが進まず。 - 電気自動車
排ガス0。しかし後続距離短し、都市型クルマ。日産ハイパーミニが既に市販化。やはりインフラ進まず。 - 燃料電池車(フューエルセル)
水素と酸素の反応で発する電気で動く。メタノールから水素を抽出する方法が有力。
しかし、それぞれにメリット/デメリットがあり、各社が未来を模索している段階であります。
それでも今の日本国内で現実的なのは、やはりハイブリッドカーなのかもしれません。
〜
ガソリンに代わり、アルコール燃料を主成分とした低公害燃料がありました。
当時、アルコール燃料「ガイアックス」を知って、私は2、3度給油しました。
地球環境のために、とかそういう意識ではなく、単に安かったからという理由からでした。
北関東の某ガソリンスタンドでリッター単価92円だったのに対し、
ガイアックスではリッター単価86円で入れた記憶があります。
安いくらいにしか思っていなかったガイアックスですが、実際にどんな燃料なのかを少し調べたことがあります。
| 10/15モード 排出ガステスト結果 |
車両A(平成11年式) | 車両B(平成10年式) | 53年許容限度 規制平均値 |
規制平均値 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ガソリン100% | ガソリン50% ガイアックス50% |
ガイアックス100% | ガソリン100% | ガソリン50% ガイアックス50% |
ガイアックス100% | |||
| CO(g/km) | 0.29 | 0.06 | 0.02 | 0.86 | 0.38 | 0.1 | 2.7 | 2.1 |
| THC(g/km) | 0.03 | 0.01 | 0.02 | 0.12 | 0.04 | 0.02 | 0.39 | 0.25 |
| NOx(g/km) | 0.06 | 0.08 | 0.3 | 0.03 | 0.12 | 0.24 | 0.48 | 0.25 |
| CO2(g/km) | 170.5 | 163.7 | 161.9 | 149.4 | 145.4 | 142.6 | - | - |
| 燃料消費率(km/?) | 13.6 | 13.1 | 12.1 | 15.4 | 14.7 | 13.7 | - | - |
| ホルムアルデヒド(mg/km) | 0.77 | 1.42 | 1.52 | NO | 0.53 | 1.81 | - | - |
これに対し、環境省はこう発表しました。
「CO、HCは改善する傾向だったものの、NOxは悪化する傾向を示した。
その他、CO2および燃料消費率はほぼ同等となり、アルデヒド類の排出量は悪化する傾向を示した」
くわえて業界各社との軋轢もあり、ガソリン税の課税されないアルコール燃料に対して反発も少なからずありました。
こうしたなか、ホンダ・オデッセイが燃料漏れで車両火災を起こしてしまいました。
その車両に使用されていたのが、ガイアックス。
さらにガイアックスを使用した車両では、その後2ヶ月間に9件のトラブルが発生したのです。
その内4件は車両火災まで起こしてしまいました。
それを聞いた時、ぞっとしました。
幸い、私のクルマでは不具合も出なかったからよかったものの、
別のクルマに乗っていたら私も燃えていたかもしれませんでした。
結果、高濃度アルコール含有燃料は販売できなくなりました。
ガイアックスもエピオンも、今は給油できません。
幸か不幸か、私はアルコール燃料まで試していたのです。
〜
でも、きたるべき燃料枯渇時代に向けて、何をすればいいのでしょうか。
ディーゼルは悪者扱いされ、電池自動車はいっこうにインフラも進みません。
期待されたアルコール燃料も、国や業界、自動車メーカーが叩き潰す始末。
当面は、みんなプリウスでも乗っていなさいということなのでしょうか。
思い切って、乗らないことも選択の一つです。
エコドライビングについてこれまでいろいろ説いてきましたが、
石油消費を減らす究極の方法は、クルマに乗らないことです。
とはいっても、まったく乗らないというわけではなく、
乗る時を見極めるのも大事なのではないでしょうか、ということです。
少なくとも、近場に行く時は、徒歩か自転車で行ってみましょう。
思い切ってクルマから離れてみるのも、また楽しいものです。
追記(2004.03.30記)
2001.07.12(ハイブリッドカー)、
2001.06.05(ガイアックス)に技術論としてアップしたテキストを修正しました。
どこにでもクルマで行くというのは、近い将来できなくなるのでしょう。
でも、走りたいですね。
参考文献:最新クルマの事典/岩倉正道著(成美堂出版)、月刊自家用車 2001年7月号(内外出版社)
追記(2011.11.02記)
文体を変更しました。
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