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#329 / 2004.02.29

まにあるのススメ

自動車産業黎明期。
変速機は手動式(MT)が主流でした。
クラスやカテゴリーにとらわれず、MTは広く採用されました。

いつしか新しい変速機として自動変速機(AT)が開発されたのです。
それは、煩わしいクラッチ操作からの解放を意味しました。
しかし当時は、燃費、走行性能など解決すべき問題も多く、まだまだ技術が追いついていませんでした。

しかし、時代が流れを変えました。

21世紀になった現在、新車登録の実に9割以上がATです。
いまやAT全盛の時代なのです。
MT設定のある車種を探すほうが、より難しい時代です。

しかも最近ではコラムAT車もあり、室内で前後の移動ができる車種が増えてきました。
大型車のみならず、軽自動車にまでコラムシフトは浸透しています。

実を言うと私は免許を取得する98年以前までクルマに疎かったのです。
当時はクルマといえばセダンしか思いつかず、座席間の移動はできなくて当たり前だと思っていました。
ミニバンは既に各社から発売されていましたが、身近にあるのはカローラセダンやミニカでした。
できなくても不便は感じませんでした。

トランスミッションの変化によって、座席間の境界は、かつてほどはっきりしなくなってきたように思えます。
それは、クルマが「みんなが楽しめる移動空間」へ変化しつつあることだとも考えられます。


そもそも楽で仕方がありません。

渋滞の多いニッポンの交通事情を考えれば、ブレーキのON、OFFだけでクルマが動くのだから、楽の一言に尽きます。

エンジンをかけたらDレンジにシフトすれば、かったるいクラッチ操作なしに目的地にたどり着けます。
MTのシフトチェンジに比べてコツも練習も求められません。
それは、シフトチェンジよりステア操作に集中しやすいということでもあります。
路地裏、車庫入れなどはATだとメリットが十分に活かしやすいといえるでしょう。


私も含め、普段MT車に乗っているドライバーの中には、ATを嫌いに思う人もいます。
もちろん走れないわけではありません。
楽だねとか何とか言いながら、平気で運転できます。
でも好きになれないのです。

こう書くとAT愛用者からは「なぜ?」と思われるでしょう。
実際、何人もの友人から不思議がられてしまいました。

私の場合ですが、以下3点の理由から好きになれないのです。

  1. エンジンブレーキの効きにくさ
    通常、Dレンジにシフトしていればクルマは前に進もうとします。
    停止しようとすれば、現在の速度分に加えて前進しようとする力も抑えなければなりません。
    この前進しようとする力が、MT車に比べて大きいのです。
    そのためエンジンブレーキが効きにくいのです。
    よって、ブレーキには多大な負荷がかかることになるのです。
    また同一車種/同一グレードの場合、ATはMTより複雑な機構が組み込まれているため数10kg程度重くなります。
    エネルギーの大きさは「力=質量×速度×速度」で表わされます。
    重い分だけ、MT車よりたくさんのエネルギーを消費しながら走り続けることになるのです。
    あまりにも無駄遣いな気がしませんか。
  2. 経済性
    まず、新車で購入するときMTはATより数万円安い値段が設定されています。
    また、ATフルードだ、4速/3速しか無くて燃費良くないだ、などと
    クルマの維持にも費用がかかるATに比べると、好燃費が期待できるのもお勧めです。
  3. 意のままに操る喜び
    ただ回すだけではありません。
    きちんとトルクの山までまわしてあげれば速く走らせることも可能です。
    もちろん、クルマの限界は知っておく必要はあります。
    詳しいことはここよりスポーツカーオーナー氏のサイトにお任せします。
    それと低燃費走行に努めるのにも有効です。
    加速時のアクセル開けっぱなしよりはシフトチェンジでアクセルを一瞬抜く分、ガソリン使用量を減らせます。
    さらに、前述の通りエンジンブレーキが効きやすい点も低燃費に貢献できます。
    AT車の場合、効果的な減速法としてはフットブレーキになりますが(サイドブレーキも含む)、 ブレーキパッドの使い過ぎは、磨耗やベーパーロックの原因になります。
    何より、それまでの運動エネルギーを急激に失わさせることで、 余計な再加速をしなければならなくなってしまうのです。

そう考えているから、MTに乗り続けるのです。


MTならば、スポーツドライビングと低燃費走行を両立できる限界が高まると考えています。
もちろんATでも両立はできますが、 どこまでスポーツできて、どこまで経済的に維持できるかという限界はクルマによって各々異なります。
これはAT車にも有効ですが、スポーツもしくはエコに効果的なパーツをいくつか挙げてみましょう。

  • アルミホイール&タイヤ
    足回りを軽くすれば、軽量化、敏捷性に大きく貢献します。
    さらに、ころがり抵抗を軽減してくれるエコタイヤを履けば、スタイル&燃費、ともに向上します。
  • 高効率バルブ
    夜間の視界確保のため。スポーツドライビングには特に重要です。
    また、視認性が良くなれば危険予測が容易になります。
    いきなり急ブレーキなんて事態も減らせるのではないでしょうか。
    運転は、知覚→判断→動作の繰り返し。知覚が一番重要な要素です。
  • エンジンオイル交換
    クルマのいわば血液。人間だって血行不良や貧血になれば調子が悪くなるのは当然のこと。
    定期的なメンテナンスが必要なのです。
    カー用品店だと、年会費1,000円程度で工賃が無料になったりします。

しかし、突き詰めて考えれば、自転車が究極のスポーツ&エコなのかもしれませんね。


これからMTは、スポーツグレードにしか搭載されないように思います。
必然的に最上級グレードということになり、 安値でMT乗りたい人にとっては中古で我慢ということになってしまうかもしれません。

それでも小排気量車であれば、最上級グレードでも手が届くし、何より低燃費も期待できます。
そういったクルマたちがMTの楽しみを再認識させてくれると信じています。

手動操作もしてみよう。

追記(2004.02.29記)

2000年に記したものをベースに加筆訂正しました。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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