リセールバリュー
クルマは買っても売っても損するものだ、とは某自動車評論家の言葉だったように記憶しています。
自分の愛車としてクルマを買うとき、リセールバリューを気にする人がいます。
何年か乗って下取りに出すとき、一体いくら位になるかを気にする人です。
そういう人がいることを知ってか、新車販売担当のセールスマンもリセールバリューがいいと売り込んできます。
これは、とてもおかしなことです。
クルマは、下取りするために買うものではありません。
走りを楽しむために、近隣の都市へ買い物に出かけるために、そして仲間と旅に出るために、クルマは買うのです。
下取り価格を気にしながら走らせる、そんなつまらないことはないのです。
ここで少し、帳簿の話をしましょう。
クルマには価値が存在します。
いくら下取り価格を気にしても、クルマですから当然値は下がっていきます。
たとえ無傷だったり、まったくの未走行だったとしてもです。
なぜなら、クルマは資産だからです。
帳簿上では、経年で資産価値が下がります。
つまり、黙ってても毎年、資産価値は引かれていくのです。
これを減価償却といい、その計算方法は定額法と定率法の2つがあります。
定額法。
定額法は、毎年一定額の資産価値を償却する方法です。
個人事業主は、この方法で計算します。
減価償却費(定額法) = ( 取得価額 - 前年度までの減価償却費合計額 ) × 0.9 × ( 1 ÷ 耐用年数 )
クルマの耐用年数は6年と定められています。
1 ÷ 6(耐用年数) = 0.166(小数点第4位以下は切り捨て)なので、
減価償却費 = ( 取得価額 - 前年度までの減価償却費合計額 ) × 0.9 × 0.166
です。
ここで個人事業主が100万円のクルマを業務用として購入した場合、
減価償却費 = ( 1,000,000円 - 0円 ) × 0.9 × 0.166 = 149,400円
つまり購入から1年後の価値は、1,000,000円 - 149,400円 = 850,600円となります。
減価償却費は確定申告時に経費として申告できるので、その分、収益を減らした形で申告できます。
収益 = 収入 - 支出(経費等)ですので、経費が増えれば収益は減ります。
その分、収益に対して課税される税金も減るので、節税対策になるというわけです。
定率法。
定率法は、毎年一定の割合で資産価値を償却する方法です。
個人でなく法人(団体)、例えば株式会社などは、この方法で計算します。
減価償却費(定率法) = ( 取得価額 - 前年度までの減価償却費合計額 ) × 償却率
償却率は、耐用年数で決まります。
耐用年数が6年の場合、償却率は0.319と決まっています。
株式会社が100万円のクルマを業務用として購入した場合、
取得金額は1,000,000円で、買ったばかりだと前年度までの減価償却費合計額は0円です。
減価償却費 = ( 1,000,000円 - 0円 ) × 0.319 = 319,000円
つまり購入から1年後の価値は、1,000,000円 - 319,000円 = 681,000円となります。
購入1年後を比べた場合、定額法の850,600円より資産価値は大きく減りますが、
償却率は一定なので毎年の減価償却費はこれから少なくなっていきます。
また資産価値は購入時価格の5%までにしなさいという規定があるので、
購入時価格の5%、例えば100万円のクルマであれば5%の5万円より資産価値を少なくはできません。
そしてこれら2つの計算方法を元に、計算してみました。
| 年度 | 資産価値(定額法) | 資産価値(定率法) | ||
|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 未償却残高 | 減価償却費 | 未償却残高 | |
| 初年度 | 0 | 1,000,000 | 0 | 1,000,000 |
| 2年目 | 149,400 | 850,600 | 319,000 | 681,000 |
| 3年目 | 149,400 | 701,200 | 217,239 | 463,761 |
| 4年目 | 149,400 | 551,800 | 147,940 | 315,821 |
| 5年目 | 149,400 | 402,400 | 100,747 | 215,074 |
| 6年目 | 149,400 | 253,000 | 68,609 | 146,466 |
| 7年目 | - | - | 46,723 | 99,743 |
| 8年目 | - | - | 31,818 | 67,925 |
定率法だと耐用年数以上の8年間、減価償却できます。
使用期間中は、帳簿の上では減価償却されているのです。
クルマの資産価値は定率法が一般的です。
クルマを売却するとき、たいていの中古車買取店では、定率法で算出した減価償却費を考慮しています。
100万円のクルマならば、1年乗って68万円、2年乗って46万円、3年乗れば32万円です。
3年で資産価値が1/3になってしまいます。
これに走行距離やらクルマの状態やらの要素を加味されて、下取り価格はもっと下がっていくのです。
こう考えるとリセールバリューなんて、金額にしてたかだか1万2万くらいの差くらいしか付かないのではないのでしょうか。
そうだとすれば、下取り価格を気にしながら走るというのは、むなしいことです。
金銭に換算すると、途端につまらなくなるものです。
今のクルマは98年式なので、今年で6年目です。
もう1台も、早いもので2年目に入るところです。
帳簿でつければ、30万円もしないクルマです。
しかも5年で99,000km近く走っています。
資産価値はもっともっと下がっているはずです。
資産価値なんて、愛用する人間にとっては、どうでもいいことです。
たしかに仕事の場においては、金額の話なら1円2円だろうときっちりしなければいけません。
金額の話はタブーだとかそういう以前に、きっちりしておくことで後々のトラブルを防ぐのです。
そういうことではなくて、
プライベートで走るときくらいは金額抜きで存分に楽しんで走るのもいいんじゃないでしょうか、ということです。
そういえば、カード会社のCMでもありました。
お金に換算できない価値は、pricelessなのです。
追記(2004.01.12記)
減価償却費について調べてみました。
間違ってたら、こっそりご指摘ください。
これでも一応、日商簿記2級は持ってるんですよ。
多分、あってるとは思います。多分。
ただ8年近く前にとった資格なので、かなり忘れていますよ。
追記(2011.11.02記)
文体を変更しました。
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