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#297 / 2003.10.06

天使のゆりかご

私は、とても眠りやすいです。

運転していると窓を開けたりガムを噛んだりして眠気を覚まそうとするのに、助手席に乗ると夢の世界へ入ってしまいます。
運転する責任がないと、とっとと寝てしまえるのです。

新幹線、飛行機、帰宅途中の電車のシート。
そうした移動中は、たいてい本や雑誌を読んでいるのですが、本を開いたまま寝てしまったりするのです。
ウトウトしているとバサッと音がするので、何かと思うと、手元から落ちた文庫本だったりします。

気持ちよくてつい寝てしまうのは、体温とNVH、これが原因です。

NVHとは、騒音(Noise)と振動(Vibration)、それに走行時のゴツゴツ感(Harshness)のことです。
騒音や振動とはいえ、必ずしも不快なものではなくて、クルマによっては何とも言えない心地よさを伴うものです。
そして走行中は、NVHが心身を包んでいくのです。

よいNVHは、心拍に近いリズムを奏でます。
また暖かい環境下では、普段よりリラックスできます。
この2つの効果が、車内での快眠につながります。

前にも書いたことがありますが、助手席で寝られる人は、それだけリラックスしているのです。
助手席で寝られていると、むしろリラックスしてくれているんだなというサインにもなるわけです。

ただし気をつけなければいけないのは、それだけ運転手も眠りやすくなっているということです。

つまり、車内全体が催眠空間になりつつある、ということです。
同乗者に引き込まれて、運転手も寝てしまうこともあるのです。
黙々と運転している側としては、「こっちも寝たいんだよ」と言いたいところです。

眠気と催眠の誘惑を振り払うことは、なかなか大変なことです。
休憩したり、窓を開けたり、平均速度を上げて眠気を飛ばすことはできますが、 時と場合によってはできないこともあります。
それでも耐えて運転し続けることは、誰にも褒められないけれど大変なことです。

理解してもらえなくても、走リ続けること。
これが、大事なのです。
けして、見返りや報酬といった糧(かて)を要求してはいけません。
要求した途端に、結局、糧目当てだとしか受け取られないのでは、とても寂しいです。

運転に限りませんが、相手を徹底的に快適にさせることです。
例えばドライビングで言えば、Gを感じさせないドライビングに徹することです。
急な加減速はタブー、シフトやステア操作はきわめて丁寧に行なう。

つまり、徹底的に快適を与えられる人間になることです。
それで相手の信頼が得られるのなら、たやすいものです。

眼前の小さい糧に目がくらんではいけません。
広い心で庇護した分だけ、大きな信頼を築いていくのです。

無心で庇護しよう。庇護されることを感謝しよう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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