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#241 / 2003.02.15

クラッシュテスト

かつては、衝突安全テストをCMで流すなんてことはありませんでした。
クルマの商品イメージを壊してしまう怖れがあるからです。

しかし近年では衝突安全の認識が高まってきたせいか、ちょくちょくテレビCMで見かけます。
例えば三菱自動車の例だと、ekワゴンやコルトといった小型車のCMです。

言いたい内容は各社共通で、ボンネットはぐちゃぐちゃになっても車内は安全だと謳う内容です。
でも、ボディが頑丈だから安全だとは限りません。

ここに興味深い冊子があります。
社団法人日本自動車連盟(JAF)の発行している「乗ったらしめる、後席シートベルトも」です。
このタイトルだけで、コラムの内容が大方ばればれです。

冊子には、3列シートのミニバンで後席シートベルトを着けているときと着けていないときを写真で紹介しています。
衝突後0.2秒以内にどうなるかを、人間に代わってダミーくんが立証してくれています。

とりあえず、以下のように名前をつけてみます。
運転席のダミー君を、A。
2列目シートのダミー君を、B。
3列目シートのダミー君を、C。

後席着用は、ABC全員シートベルト着用。
後席非着用のときは、Aのみ着用、BとCはシートベルトを着けません。

また使用車種はトヨタ・イプサム(初代)。実験のために天井部分が吹き抜けになっています。
たまたま3列シートの車種ですが、セダンやワゴンでも同じことです。

で、こんな結果でした。

表241 後席シートベルト着用・非着用の比較実験結果
衝突後
の時間
後席の状態結果
衝突 0.090秒後 後席非着用 Aはエアバッグに守られますが、BCともに座った姿勢のままスライドし膝を前席にぶつけます。
後席着用 ABCすべて前のめりになりますが、ベルトに守られて前席にぶつけることはありません。
衝突 0.116秒後後席非着用 Aはエアバッグと押されたBに強く挟まれます。 BCともに前席のヘッドレストに頭を強打してしまいます。
後席着用 ABCすべて前のめりのままです。
衝突 0.192秒後後席非着用 Aは強く挟まれ続けます。 BCは頭を強く打ちつけながら体が激しく浮き上がります。 とくにCはガラ空きの屋根部分から半分はみ出してしまいます。
後席着用 ABCは座っている姿勢に戻ります。

つまり、後席に座っている人間は車内で全身を強打するのです。
さらにはドライバーを自分で押しつぶしてしまうのです。
このことから、後席は車外に飛び出さないからシートベルトをしないというのは、大きな間違いです。

そこで正しくシートベルトする必要があるのです。

鎖骨と腰骨を抑えながらベルトをするのがコツです。
もちろんベルトはたるまないようにしましょう。

こうすると、どうしても正しい姿勢が求められます。
シートに深く座った状態でベルトをしないと、シートベルトが役に立たないからです。
浅く座った状態でのシートベルトは、かえって首を絞めたり腹を圧迫する原因になってしまいます。

ドライバーの中には、寝そべるように座ってシートベルトをつけています。
同乗者も、またしかりです。
でもそれは、見た目にもダサいばかりでなく、衝突時の危険度をみずから増やしてしまっているのです。

衝突安全テストを見せるということは、ボディの頑丈さを見せつけるだけでなく、 正しいシートベルト着用を考え直すためでもあるのです。

鎖骨と腰骨を押さえよう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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