トップ > コラム > コラム No.194
 
トップ > コラム > コラム No.194

#194 / 2002.10.08

幸せ恐怖症

「1番希望しているものを敢えて選ばず、たいして好きでないものを選択する。
自分が幸せに生きているかどうかを、あの人が見てくれているか不安だ」

女は男のどこを見ているか」(岩月謙司著・ちくま新書)によると、「幸せ恐怖症」というらしいです。
幸せになるのを避けることで、誰からも嫉妬を買わずにすむというものです。
そのかわり自分の第1希望も選択しないので、当然、幸福度は低くなります。
この症状は女性に多く発症し、当の本人には自覚がないのが特徴的です。
女性の例で話してみましょう。

この症状が悪化すると大変です。
幸せを、みずからブチ壊すのです。
例えば、デート中に恋人に悪態をつき台無しにする、突然に機嫌の悪い態度をとるのです。
ひどい場合だと、旅行の待ち合わせにもっともらしい理由をつけて遅れ、旅行自体をチャラにしてしまう人もいるといいます。
ところが当の本人はいたって自覚がなく、むしろデートが台無しにされたとばかりに被害者になりきってしまうのです。

振り回される側は、たまったものではありません。
むしろ、こちらが被害者であるのに加害者扱いされたのでは、あははと笑ってすんでも結局しこりが残ってしまいます。
された側にとっては、小さな可愛いウソで済まされないこともあるのです。


この「幸せ恐怖症」。
原因は、実は意外なところにあります。

この症状にかかった女性の場合、当人の母親が原因だというのです。
母親が心が満たされていない女性だと、育てる過程で娘の幸福さを嫉妬するので幸せ恐怖症の女性に育つのだそうです。
自分が幸せでない分、同性の娘が幸せか気になってしまうというのです。

具体的には、娘に嫉妬すると母親は無意識のうちに不機嫌になります。
子供は、母親の不機嫌さには特に敏感です。
「自分の責任で母親が不機嫌になってしまった」と感じてしまうのです。
だから、なるべく母親の不機嫌にならぬよう、母親の嫉妬を買わぬよう、 と自分が幸せに感じることを積極的に拒否してしまう癖がついてしまうのだといいます。
その意識が長年続いてしまうと、母親から自立しても無意識のうちに幸せを拒む行動をとるのです。
幸せ恐怖症が男性に少なく女性に多いのは、母親の嫉妬が異性である息子より同性である娘に向きやすいからだといいます。

岩月氏によれば、実に女性の6割以上が幸せ恐怖症であるようです。


以上が「幸せ恐怖症」の概要で、「女は男のどこを見ているか」の私的要約です。
治すために岩月氏は、「男性の愛と智恵と勇気で女性にかけられた呪いをとくのです」と説いています。
しかし、いちいち振り回されたり加害者扱いされたり、あげく治療の面倒まで見なければならないのでは、 同じ男性として同情してしまいます。
よほどのことがなければ、そんな女性からは逃げ出すのが普通の感覚でしょう。


無意識に幸せを避けるのなら、それでも構いません。
ただ、幸せでないことを周りにブチ撒きながら、自分は可愛そうだと主張してはいけません。

クルマ選びに近いものがあります。
本当はA車が欲しいのに、親戚の縁でBのメーカーを買わなければならない。
C車は安いから、D車はそんなに派手じゃないから。
でもまぁ無難なところで、E車にしよう。

地方によっては「縁故買い」と呼ばれる風習があります。
知り合いの紹介で同じセールスさんから車を買うというものです。

でも、この買い方は得策ではありません。
値引きも期待できないし、知り合いの顔も立てなきゃと断りづらくなるからです。
なにより、自分の一番好きなクルマが取り扱っていないなど、自分のベストを選択できない可能性が非常に高いのです。

つまり、ベストチョイスより顔を立てる方向へといってしまうのです。

これは、選ぶ相手を恋人と考えても分かりやすいです。
結局、本意でない選び方なのに無理に肯定することで、自分が我慢すればみんなハッピーになると勘違いしてしまうのです。

いくらヒロインを演じようとも、はたから見ればサル芝居に過ぎません。

簡単なことです。
恐れないで初めからベストを選んでいけばいいだけの話です。
自分で言い訳を作らず選んでみると、どんどん変わっていけます。

すると、あたま一つ抜きでたところで、必ず嫉妬してくる人が出てきます。
「なんだよお前ばっかり」という人です。
これはみんな仲良く落ちぶれ続けましょうという、悪平等の誘いです。
そこで大多数は、そうか他人の目も意識しなければならないのだと、無難な選択に走っていってしまいます。

今までのあなたも、その一人でした。
でも、これからは違います。
幸せは掴むものだ、と気がついたからです。

他人の目なんてものは、本当はありえません。
おびえている当人が、自意識過剰になっているだけでしかないのです。
他人は、意外とあなたに関心を寄せてはいないものです。

他人や親から嫉妬を買うくらいの生き方が、すごく面白いのです。

最高に好きなコトだけを選ぼう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

サイト内リンク