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#192 / 2002.09.30

チャリンコミサイル

自転車は、結構、速いです。
普通に走っていても、10km/h程度は出ます。
人間の歩きで、おおよそ4km/hですから、倍以上は速いです。

競輪の世界でも、およそ60〜70km/h。
ギネスによると、オランダのフレッド・ロンベルバーグが1995年10月3日、 最高速268.831km/hものスピードで走ったのです。
これは、風除け板をつけた車のすぐ後ろを走ったものですが、本当に極めれば途方もない速さになるのです。
もちろん一般の自転車でも、出す気になればもの凄く速いのです。

この自転車。
クルマを運転していると、意外と脅威なのです。

なにせ大半の自転車乗りは、自分以外の動きをまったく予測していません。
前だけしか見ようとしないから、横からクルマや二輪に突然こられるとぶつかるのです。
そのうえ、夜間は無灯火だったり、駅前の道など邪魔な箇所に停めてあったりします。
歩道と車道がきちんと分離されているにもかかわらず、車線にはみ出しながら走っている命知らずもいます。

なかでも恐いのは「チャリンコミサイル」です。
路地裏や駐車場から出るときに出られるかなと少し前進すると、歩道を突っ走ってきた自転車がぶつかってくるのです。
私が考えた言葉ではありませんが、前だけしか見えていないからミサイルとは、なかなか言いえて妙です。

自転車は気軽に乗れる乗り物だけれども、マナーが無くてもよいというわけではありません。
歩道や細い路地でもなまじスピードが出るだけに、クルマ以上の凶器にもなりえます。

ぶつかったとき路地裏から突然出てきたら、出てきた方が悪いという人もいます。
しかし実際問題、結構飛ばしている自転車乗りもいて、とびだしを予期しきれずに、また止まれずにぶつかる人もいます。
もちろん、路地裏から出るクルマも一時停止しないまま頭を出そうとした、ということもあります。
いずれにせよ、1秒先の読めなかった人間がぶつかったという事です。

ここで大事なのは、「1秒後を予期する」ということです。

路地裏から出るけど誰か来そう。
前の車、ウィンカーをあげていないけれど青信号でブレーキランプがついた。これは曲がりそう。
この先の車線減少で、あのクルマは無理に割り込んできそうな気がします。

そのまま突っ走ってしまうと、ブレーキが遅すぎて後続車の迷惑になったり、最悪の場合、衝突事故もありえます。
つまり、予期しないでただ漠然と走っているドライバーは、どんなにブレーキを踏み込んでも遅いし、 どんなにいいクルマに乗っても乗りこなせないのです。
すべての対応が後手後手になってしまうから、余裕が無いし、走っていても見苦しいのです。

予期しておけば、自然とアクセルから足が離れるものです。
無意識のうちに冷静になっているのです。
つまり予期することで、次に起こり得るであろうトラブルに素早く対処できるのです。

もちろん予期できないこともあります。
大震災や河川の氾濫など、通常は予期できません。
ですが、「とんでもないことでも起こる時は起こるものだ」と腹を括ってしまえば、 動じることは少なくなります。

「予期」とは逆に「楽観」もあります。

まさか路地裏から、車なんか出てこないだろう。
まさか直前で、ウィンカーもなしに曲がらないだろう。
まさかこの先で、無理やり割り込んではこないだろう。

つまり、「まさか、起こりえないだろう」という前提なのです。
でもこれは、あなたの甘えです。

もし事故を起してしまったら、きっと「何で突然出てくるのか。ふざけるな」と怒るでしょう。
でも、それ以前に「まさか出てこないだろう」と減速しなかったのが、いけないのです。
「減速しないけどいいかな。どうせ出てこないだろうから」という甘えなのです。
だから、さきの「何で突然出てくるんだ」というのは、 甘えを無理やり都合よく正当化させていただけにすぎません。

「だろう」というのは、あなたが勝手に楽観視しているだけに過ぎません。
楽観ではなく、予期することで事前に回避できるのが、上手なドライバーです。

「甘え」を断ち切るためにも、まず、だろう運転は止めてください。

1秒後を予期しよう。

追記(2004.01.08記)

heeeさんにご指摘受けて、ちょっと調べてみました。
自転車は軽車両なので、車道を走行するのが基本ですね。
ただし「自転車通行可」の標識があれば、歩道でも歩行者に注意して走ることができます。
それだけに接触の危険もあります。
おたがい気ぃつけなきゃいけませんね。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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