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#172 / 2002.07.31

はづかしき人

古語に「はづかしき人」という言葉があります。
一緒にいるコチラが恥ずかしくなってしまうほど、素晴らしい人間性を持った人間、という意味です。

もちろん、素晴らしい人間性の定義など、世界60億の人間すべてが同じ定義ではありません。
宗教国では神や仏かもしれないし、アメリカや韓国のように我が民族こそが素晴らしいとする考えもあります。

そういった意味では、地球上の誰もが認めるような本当の聖人君子などいないのかもしれません。
でも、それに近づこうと努力することは可能です。

私は、上手いドライバーのクルマに乗ると「はづかし」くなります。

例えば、バスの運転手。
実は私自身、運転が上手くなりたいと強く考えるようになったのは、あるバスの運転手がきっかけでした。
免許センターで初めて自動車免許をもらった帰りの、バスの運転手です。
バスは静かに加速し、静かに停まりました。
せせこましい道でさえ巨大な車体を傷つけることなく、慎重に走り抜けます。
そして誰一人、怖い思いをせず、無事に駅まで到着しました。
まさに免許取立てだったから、普段何気なく乗っているバス運転士の運転技術に改めて驚きました。

バスの運転手だけでありません。
プロのタクシードライバーもそうだし、自動車メーカーお抱えのテストドライバーもそうです。

翻ってみれば、私はまだまだ素人です。

だから、他にも上手いドライバーを見ると、負けられないなと思うのです。
負けられないと思うのは、運転だけではありません。
思想、行動、なんでもそうです。

「はづかしき人」は、あなたの身近にもたくさんいます。
自分が頂点だと思っても、必ず上には上がいるものです。

上などいないと考え始めると、傲慢になります。
分野こそ違えど、常に上がいることに気づくセンスが必要ではないでしょうか。
そのセンスを持つことが大事です。

また、「はづかしき人」に対して、妬んでもいけません。
素晴らしい点は、どんどん盗んでいきましょう。

「自分はプロじゃないから、プロと勝負しなくてもいい」という人もいます。
こういう人は、間違いです。
相手が敵わないからと勝負を逃げ出してしまうのは、自分から成長を放棄するということです。

自分が成長するために、「はづかしき人」を見つけましょう。
でもそれは、あなたの目標とする人ではありません。
あなたが越えるべき人です。
目標では、あなたはその人以下にしかなれません。
だから、越えるべき人なのです。

あなたの越えたい人は、誰ですか。

先人を追い抜こう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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