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#150 / 2002.04.27

トレードオフ

Aをたてれば、Bは分が悪くなる。
逆にBを引き上げると、今度はAが引き下がる。
こういった関係を、トレードオフといいます。いわば反比例です。

私は、仙台と宇都宮をクルマで毎週往復している時期がありました。
2000年10月から2002年1月、およそ1年3ヶ月の期間です。
なんのことはない、ただ恋人に逢いに行っていたのです。
それ以前は、恋人が郡山に住んでいたので、仙台〜郡山を往復していました。

遠距離恋愛だとさんざん言われました。
でも、世の中には、もっと遠距離恋愛をしている人達がたくさんいるはずです。
そういう人達に比べたら、たいして遠いわけではありません。

「遠距離恋愛は長続きしない」
これは、ほとんどの人が考えているようで、転勤や進学が恋愛関係を壊すものと信じているようです。
でも、これは真っ赤なウソです。
根性無しが流したデマにすぎません。

冷静に考えれば、仙台〜宇都宮は高速で2.5時間で行けます。
深夜だとさらに速く行けます。
つまり、たかだか2.5時間しか離れていないということです。
例えば大渋滞する首都圏を抜けるコースを考えたときに、 3時間もかかったのに実際の物理的な距離は数10kmしか離れていないということもありえるのです。

移動距離ではなく、移動時間で考えるべきです。
遠いからと尻ごみするのは、単に情熱がないだけです。

物理的距離をいいわけにするのは、ただの根性無しです。
だから「遠距離恋愛は長続きする」のです。

ただし、移動コストも考えなければなりません。
仙台南〜宇都宮で片道5,100円(2002年4月現在)。
プラス燃費ですから、250kmを最悪10km/Lで走って25L。
ガソリン単価を100円/Lで換算すれば、2,500円。
これだけで片道7,600円です。
新幹線で行っても7,680円(2002年4月現在)だから、大差ないのです。

日本の高速代は諸外国の高速代にくらべ不当に高すぎます。
欧州、米国では無料です。
日本だと、通るものすべてからとれるだけとってやろうという貧相な根性しかありません。
たまたま名目が「通行料」なだけです。

人の流れは、まさに動脈です。
人が流れて経済が活性化し、国が豊かになるのです。
いちいち料金所で金を奪わなくても、10年、20年単位の長期で見れば、確実に元はとれるのです。

さきのコストの話に戻すと、素人の論理でいけば、速く着ける新幹線でいいだろうということになります。
でも、訳知り顔の人間が、一番何もわかっていないのです。
むしろ、何も考えていません。

毎週くそまじめに高速で行ったら、いくらかかるのか認識できていません。そこが甘いのです。
往復15,200円を月4週として毎月60,800円。
だったら、一緒に住んだほうが正解です。

現実問題、高速なんかろくろく使えないのです。
お金をとるか、時間をとるか二者択一です。
まさにトレードオフなのです。

かといって見捨てるほど、私は甘くありません。

情熱があるからこそ、人間なのです。
情熱を無くしたら、何のために生きるのでしょうか。

私は出発時間と高速代の性質に着目しました。

出発時間は普通、到着目標時間から割り出します。
現実問題、土日の日中だと高速で2.5時間、下道6時間かかります。
しかもこれは、途中で一度も休憩しないでの実走時間です。

また高速代は電車と同じで、距離が遠くなるほど単位距離あたりの単価が安くなります。
仙台南〜宇都宮で5,100円ですが、もう1区間さきの仙台南〜鹿沼だと5,300円。
でも宇都宮〜鹿沼だと差額の200円では乗れません。
つまり、フル区間では負担が大きいけど、近距離で乗っても割高で意味がありません。

変えられない現実をグダグダ呪うくらいなら、自分が変わればいい。

下道6時間ということは、深夜0時に出発すれば翌朝早朝には宇都宮にたどり着けます。
途中にはたくさんのコンビニ駐車場があるので、休憩と仮眠をとるのには困りません。
実際は、深夜で下道4時間ペースで走っていますから、1.5時間程度の仮眠をとっていました。
冬は毛布を積んでいたこともありました。

下道4時間だと、かなり速いペースです。
速度取り締まりを気にする人もいるでしょう。
しかし、警察署がわざわざ深夜手当を費やしてまで、速度を取り締まることは稀です。
代わりにオービスが作動しています。つまり、オービスの接地箇所を把握すればいいのです。
そもそも管内でのみ行動しているということは、極論ですが、その管内でのみ注意していればいいのです。

高速に乗る区間も考えました。
2,000円程度の中距離ならばフル区間の半額で済みます。
また、メインルートであるR4沿いのインター同士を結ぶことで、高速に乗る時間も節約してみました。
具体的にいうと、白石、国見、二本松、本宮、矢吹、白河、矢板の7インターです。
時間と支払える高速代で考えると白石〜二本松、矢板〜白河が適していることもわかりました。

そうした自分なりの試行錯誤のすえ、累計30,000km走りました。
消費ガソリンは、およそ2,500Lです。
ここまでくると、もはや一大プロジェクトです。

トレードオフには、どこかに妥協する点を残しておかないと行き詰まってしまいます。
だからこそ、どこか譲るところがあっても、 これだけは絶対に譲れないというこだわりを持たなければなりません。

譲れないものを一つだけ持とう。

追記(2011.11.02記)

文体を変更しました。

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