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#134 / 2002.02.23

勿締

エンジンは回しただけパワーが出ると考えるのは、間違いです。

ディーラーで新車のカタログをもらうと分かりますが、性能曲線図が書いてあります。
これは、エンジンの回転域でどれだけの出力かを示した図です。
横軸に回転数、左縦軸に馬力、そして右縦軸にトルクが記されています。
一般的には「馬力は最高速を得る、トルクは加速力を得る」といわれています。

見ると分かるのですが、右肩あがりの山型になっています。
馬力を求めたエンジンは極端にとがっていますが、通常はなだらかな山型が一般的です。
乱暴に言えば、スポーツカーならグラフの右上がり方が急なエンジン。
使いやすさなら、なだらかな曲線を示すエンジンでいい訳です。
つまり性能曲線図で、おおよそのエンジンの性格がわかります。

結局は、どんなエンジンでもグラフは山型になります。
天井知らずに伸びっぱなしではありません。

私のクルマの場合ですと、6,200rpmまでまわるエンジンを搭載しています。
最大出力馬力:102/5,600(ps/rpm)、最大出力トルク:13.9/4,000(kg-m/rpm)です。

ここでrpmは、round/minで1分間あたりの回転数を意味しています。
ですから6,000rpmだと、1分間で6,000回転、1秒間で100回転を意味します。

6,200rpmまでキャパシティがあっても、4,000rpmからは加速感が鈍るということです。
はじめに言ったように、闇雲に踏めばいいというのは間違いなのです。
一番調子のいい部分を、積極的に使っていくことが効率的だということです。

これは何にしても、まったく同じです。

例えば、人間関係。
むやみに怒ったりイラついている上司やお客様がいます。
友達にもいます。
「あれどうなったんだ」と激高されっぱなしでは、失敗したとき、とても言いづらい。
でも、たまの激高はいいのです。
そうではなくて、常に激高しないと人は動かないと勘違いしているようでは、人の気持ちは全然理解していません。
その認識の狭さに、愕然としてしまうのです。

時間の使い方でも同じです。
人間である以上、時間帯に好不調の波はあるのです。
午前中に頭が冴えるタイプ、午後一番に全開できるタイプ、深夜に活動的になれるタイプ。
ちなみに私は午前と夕刻。とくに午前7時頃に冴えるタイプです。
深夜までグダグダするのは時間の無駄です。

全時間帯で全開になれる人間はいません。
それがわからないと常にムチを振るってしまうことになります。
競馬ジョッキーが第4コーナーまでムチを使わないのは、ラスト十数秒が勝負のカギだからです。

一辺倒では、誰も心の底からはついてこないのです。

中国のラストエンペラーの話です。
彼が皇帝の座から降ろされ、いつものように服を着せてもらおうとしたとき元側近はこういいました。
「あなたはもう皇帝ではない。だから私はあなたに仕えない」
彼はおぼつかない手で、ボタンを閉めざるを得ませんでした。

彼は皇帝だったことのみが唯一の存在価値だったのです。
心底からついてくる者がいないというのは、本当は寂しいことです。

人間は、情動で動く生物です。
きつく締めすぎることで、気持ちが失われていくのです。

手綱をゆるめよう。

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